こんにちは、竜崎です!
みなさん、こんなことを思ったことはありませんか?
- 「本当は〇〇が欲しいけど、手に入らないから別に要らない」
- 「頑張れば手に入りそうだけど、頑張るのがめんどうくさいし、実際そこまで欲しくはない」
誰しも自分がやっていることに対しては自信を持っていたいはずです。
仕事でも趣味でもなんでも、今自分がやっていることは「正しく」て「正解」であると信じたい心理が人間には存在しています。
多くの人は自分がやっていることは自分が納得して選んだ道であると信じ込み、自分の選択は正解であり、正しいと自分を正当化しながら生きている。
これを心理学的に「自己正当化」と言います。
自己正当化すること自体は悪いことではなく、自分に自信を持ったり自分らしく生きるためには正当化するのも時には必要です。
しかし、自己正当化は時に自己欺瞞を引き起こし、本音から自分を遠ざけてしまうことがあります。
今回の記事では「自己欺瞞」とはどういうものなのかについて述べ、自分を正当化し、自己欺瞞してしまう心理を解説します。
- 自己欺瞞とはどういうものなのか。
- 自分を正当化し、自己欺瞞してしまう心理。
自己欺瞞は自分の本音を欺いてしまうので、後になってから自分の本音に気がつき、後悔することが多いです。

目次
自己欺瞞とは

まずはじめに、「自己欺瞞」というのは字のごとく「自分を欺くこと」であり、言い換えると「自分に嘘をつく行為」のことです。
人は常に自己正当化しながら生きていますが、自分を自己正当化する前には自己欺瞞する段階があります。
本心ではない行動をあたかも自分の本心であるかのように自分を欺き、自己正当化をおこなう。
これは人間の特徴でもあり、誰でも陥る可能性がある心理的現象です。
イソップ童話の「酸っぱい葡萄」
自己欺瞞の問題を考えるとき、イソップ童話の「酸っぱい葡萄」の物語がわかりやすいです。
ある日キツネは背の高い木にあるブドウを見つけ、そのブドウを取るために一生懸命ジャンプしたり、木に登って取ろうとします。
ですが、どんなに頑張ってもブドウを取ることはできず、ついにキツネは諦めてしまいます。
そのときキツネは、「あんなところにあるブドウは酸っぱいに決まってるさ」と捨て台詞を吐き、そんなブドウなんて取る価値がないと自分を納得させて去っていく・・・。
まさにこのキツネが陥っている状態が、自己欺瞞そのものです。
キツネは見つけたときはおいしそうに見えたブドウを、自分では手の届かない存在であると気づいたとき、そのブドウを「おいしくないブドウ」だと自分に言い聞かせています。
自分の実力がないことを嘆くのではなく、ブドウの存在価値を落として自分のプライドを守っているのです。
僕たち人間の場合は、自分のやりたくないことをやっている自分を正当化するために、自分に本心とは違うことを思い込ませてしまいます。

人は自分の本心が叶わないとき、自己欺瞞と自己正当化により自分を守ろうとします。
自己欺瞞と自己正当化は無意識的なもの
僕を含め、多くの人は常に自己欺瞞と自己正当化しながら生きています。それも無意識的に。
人は意識的に自分を欺いたり正当化しているのではなく、人間の脳が自然と自分の行動にあった理由を持ち出し、無意識的に言い聞かせているのです。

ダイエットしているから食べてはいけないとわかっていても、甘いものを目の前にすると、
- 「どうせ痩せない」
- 「これを食べるぐらい問題ない」
- 「たまには息抜きも必要」
などと、食べても大丈夫な理由をいくつも並べて自己正当化をおこなうのです。
その結果、自分の本音は隅っこのほうに追いやられ、本来ならするべきではない行動が、するべき行動として自分の前に現れます。
こうした選択は、自分が納得して選んでいると思っていても、実際には自分が本当にしたいと思っている行動をしているわけではありません。
そのため、行動の結果が自分が望んでいることに行き着くこともありません。

行動する前に自分へ質問を投げかけよう
自己欺瞞と自己正当化は、本当に必要なことから目を逸らさせ、目の前の魅力的なものに目を奪わせてしまいます。

どんなに頭が良くて賢い人であっても、みんな自分を正当化していますし、ときには自分に嘘をついて自分で自分を納得させています。
何かを選択するときや自分がやっていること、これからやろうとしていることは、本当に自分がやりたいと思っていることなのかどうかをしっかりと考えなければなりません。
たとえば、以下のような質問を自分にしてみるのがいいでしょう。
- 一時的な感情によって、突き動かされていないか?
- 目先の快楽に心を奪われていないか?
- 楽をしたいという欲求に振り回されてはいないか?
自分の行動の一つひとつときちんと向き合うことができれば、行動のあとに後悔することは減らせるはずです。
「人は常に自分の都合のいいように物事と向き合い、都合のいいように解釈し、自分を守るために自己欺瞞と自己正当化している」ことを忘れずに覚えておきましょう。
自分を正当化し、自己欺瞞してしまう心理

ここまで、自己欺瞞とはどういうものなのかについて解説してきました。
自己欺瞞と自己正当化は無意識なもので、人は意識的に自分を正当化しているわけでも、自分に嘘をついているわけでもありません。

ここからは自分を正当化し、自己欺瞞してしまう心理について解説していきます。
ポイントは以下の3点です。
- 行動の責任が自分にない場合に起こりやすい。
- 後づけの理由が自分を欺く。
- 自己欺瞞は自分を守る行為。

行動の責任が自分にない場合に起こりやすい
おそらくほとんどの人は、自分がやっていることは紛れもなく自分自身で選択した行動だと思っているでしょう。
今やっている仕事や勤めている会社、没頭している趣味や休日に出かけた場所、給料で買ったものや今日食べたもの、友人と過ごす時間や恋人の選択など。

「自分で納得して選んだ」という感覚がなければ、少しでも嫌なことあるとすぐに投げ出してしまいます。
今の仕事が嫌でも中々辞めることができないのは、それは自分で選んだ結果だからです。
しかし、他人の意見といった外からの圧力によって無理やりやらされている場合、精神的なストレスが伴い、うまくいかない原因を他人へと擦り付けます。
あるいは、うまくいかない現実から自分を守るため自分で自分に嘘をつき、自分の心を欺いてしまいます。

後づけの理由が自分を欺く
自己正当化と自己欺瞞の心理の2つ目のポイントは、物事を後づけの理由で考えてしまうことにあります。
後づけの理由というのは、何かを選択した場合に、その選択したものを自分の中で正しい選択にするために、必死に理由を見つけることです。
これは心理学的に「認知的不協和を解消する行為」とも言えます。
認知的不協和に関する詳しい解説は、「【自分に嘘をつく心理】人は認知的不協和を正すために自己正当化をおこなう。」の記事を読んでみてください^^
では、後づけの理由を、仕事を例にして考えてみましょう。
あなたは今スターバックスでコーヒーを入れる仕事をしているとします。
そしてその仕事は、仕事をはじめたときには本当はやりたくなかった仕事です。
あなたは本当はもっと給料が良くて、自分の好きな仕事をし、職場の同僚と笑い合いながら、毎年夏と冬に高額のボーナスをもらうような仕事をしたいと思っていました。
ですが、現実は生活費を稼ぐためにコーヒーを入れる仕事をしています。
この状態に後づけの理由が働くとどうなるか。
仕事をはじめたときは、本当にやりたい仕事への欲求があるため、今やっている仕事に対する嫌悪感や倦怠感がとても強くあります。
しかし、同じことを毎日やっていれば次第にその心理状態に慣れてくるため、仕事をはじめたときよりも、仕事に対する嫌な気持ちも時間とともに和らいでくるでしょう。

この気持ちの変化の間にこそ、後づけの理由という心理がはたらいています。
自己欺瞞は自分を守る行為
後づけの理由は、嫌な仕事をしてもその仕事をする意味や目的を探し出し、今やっている仕事は正しいことであると自分を納得させてしまいます。
そのよくある理由としては「生活費を稼ぐため」であり、仕事に関しては「生活費」という強力なキーワードによって自己正当化と自己欺瞞がおこなわれるのです。
ほかにも、自己正当化するために「この仕事にも楽しいところがある」「職場仲間がいい人ばかり」「実際そこまでつらくはない」といった理由がよく持ち出されます。
仕事を始めたときに持っていた「本当にやりたい仕事」への欲求がだんだんと薄れ、今やっている仕事が「はじめから自分がやりたいこと」であったかのように思い込む。
自己欺瞞に陥る心理には、今の現状から感じる不満を和らげたいという心理が大きく関係しています。
自己欺瞞することにより、つらい仕事をつらいと感じなくさせる防衛反応がはたらいているのです。

【まとめ】自己正当化して、自己欺瞞しても幸せにはなれない

今回の記事では、自己欺瞞とはどういうものなのか、自分を正当化し、自己欺瞞してしまう心理を解説してきました。
- 自己欺瞞は自分に嘘をつく行為。
- 自己欺瞞は自己正当化することからはじまる。
- 後づけの理由が自己欺瞞を引きこす。
- 自己欺瞞は自分を守る行為。
自己欺瞞は自分に嘘をつき、本音から自分を遠ざける行為です。
何かしら納得できないことがあると、人は自分を守るためにまず自分を正当化し、それから自分を欺きます。
しかし、そうした行動は結果的に後悔につながりやすいので注意が必要です。
自己正当化し、自己欺瞞で自分の本音を誤魔化しても幸せにはなれない。
自己欺瞞は自分を守る行為でもあるため、一概にはダメだとは言えません。
ですが、人生で後悔したくないのであれば、自分の本音からは目を逸らさないようにしなければなりません。
決して「酸っぱい葡萄」のキツネのように、本当は欲しいのに「いらない」などと自分を誤魔化してはいけません。
自己欺瞞に陥りそうなときは、自分に「それは本当に自分の本音なのか?」と問いかけてみましょう。

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