最終更新日 2026年7月25日
自己中心的と聞くと、周りの迷惑も顧みず、自分の利益のためだけに行動する人間が思い浮かんできますが、実際には自己中心的な人間には2つのタイプがあります。
1つ目は今述べたように、自分の利益のことだけを考え、他人に不利益が及ぼうが関係なく、とことん自分のことだけしか考えないタイプ。
このタイプの自己中心的な人間とは、なるべく付き合わないほうが身のためです。
自分の行動が他人に迷惑になっているとも思っていないので、とことん気分を害してくるやっかいなタイプ。
2つ目は、自分の利益のために他人の役に立つことをするタイプ。
このタイプの自己中心的な人間は、最終的な利益は自分のためではあるものの、自分の利益のために他人のために行動できるタイプです。
たとえば、おばあちゃんに電車の席を譲るとか、道に迷っている人に行き先を教えてあげるとかなど。
こうしたタイプの人間は、他人のために行動しているように見えますが、実は自分の利益にもかなっています。
他人の役に立つことで、「自分は良いことをした」「自分は道徳的な人間だ」という感情的な利益を手にしているからです。
自己中心的なギバーとテイカー
自分の利益をどのようにして満たすのかは、人生において大きな問題です。
どこまでも自分のことしか考えないのであれば、社会や他人から必要とされることはなく、良い思いをしたとしてもどこか虚しい感情に支配されます。
一方、他人の役に立つことで自分の利益を満たすのであれば、社会や他人とのつながりを実感でき、少なくとも心は豊かに生きられるでしょう。
他人と付き合うときには、その人がどちらの自己中心的なタイプなのかを見極めることが大切です。
もちろん、自分自身もどちらのタイプなのかを考え、もし自分のことしか考えていないのであれば、生き方を見直す必要があるでしょう。
自分だけが良ければいいと思って生きていたとすれば、自分の周りには誰もいないはずです。
アダム・グラントの『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』という本の中には、生き方のタイプとして「ギバー」「テイカー」「マッチャー」の3つのタイプが紹介されています。
簡潔に言うと、ギバーは与える人、テイカーは奪う人、そしてマッチャーは与えてくれるなら自分も与え、相手が奪ってくるならこちらも奪うタイプ。
これを応用するのであれば、自分のことだけしか考えない自己中心的な人は、紛れもなくテイカーです。
テイカーは常に自分の利益を優先し、他人が与えてくれることを当たり前だと思い、自分のために他人から少しでも多く奪おうとするタイプ。
一方、他人の役に立った上で自分の利益を満たすのはギバーです。
自分の利益は後回しにし、まずは他人の役に立つ、まずは他人に与える。そして、与えた行動が最終的には自分の利益として返ってきます。
最終的には自分の利益が目的ではあるものの、他人に与え、他人の役に立つことが、巡り巡って自分の利益になるのです。
本の中では、ギバーとテイカー、マッチャーの中で、一番成功するのはギバーだと述べられています。
ですが、3つのタイプの中で一番損をするのもギバーだと言います。なぜでしょうか。
他人の役に立つ自己中心性
ギバーが一番成功に近く、それと同時に一番損をするのは、ギバーの中でも「誰に対して与えるか」によって結果が大きく変わるからです。
他人に与えることが成功につながるからといって、誰にでも与えればいいというわけではありません。
テイカーに対して与えても、彼らはとことん奪い、利用するだけなので、自分にとって利益になることがありません。
つまり、搾取されて終わるのです。
ギバーで成功するためには、テイカーを避けなければなりません。
自分のことしか考えない自己中心的な人間には、与えたところで何も得られるものはなく、逆に自分の時間やお金、エネルギーを消耗するだけです。
マッチャーは、言い換えると打算的な自己中心性とでもいうべきタイプで、見返りがあるなら相手にとって良いことをします。
世の中にはマッチャーが一番多いらしいですが、だからこそマッチャーでは大きく損をすることはないものの、大きく成功することもありません。
誰もがマッチャー的な態度で接していれば、利益は均衡点となり、平均から大きく乖離することがないからです。
世の中では自己中心的な人は嫌われると言われますが、それは正しくありません。
正しい言い方をするなら、自分のことしか考えない自己中心的な人間は嫌われるということです。
人間はみんな自己中心的な生き物で、常に自分のことを考えています。
他人が交通事故にあっても、顔にできたニキビのほうが気になりますし、地震が起きても、健康診断の結果のほうが気になっています。
自己中心的なのは悪いことではなく、他人に迷惑がかかっているかどうかがポイントです。
他人の役に立つ自己中心性は、他人や社会を成長させるエネルギーになります。
他人に迷惑がかかっていない限り、自己の利益を追求するのは問題ありません。
他人や社会の役に立った上で、自己の利益を満たすことができれば、それは資本主義そのものです。
どのように自己中心的な感情を満たすか
今の時代、「多様性」という言葉をよく聞くようになり、「自分を一番大切にしよう」という風潮も強くなっています。
ですが、言葉通りに「自分を一番大切にして生きる」と勘違いすると、他人の迷惑も顧みない自己中心的な人間が出来上がります。
自分の利益のためなら他人に嫌な思いをさせても構わない、お金が稼げれば迷惑をかけても構わない、そうした歪んだ自己愛を持った自己中心的な人間がSNSを中心にたくさん現れています。
彼らは他人の時間を奪うという意味でもテイカーであり、自分の利益のことしか考えていないという点でもテイカーです。
自分のことを考えるのは大切ですが、それ以上に他人のことを考えるのも大切です。
他人を蔑ろにして手にした利益は、いつか他人によってしっぺ返しを受けるのが世の常。
自分のためだけを考える自己中心的なタイプは不幸になります。
ですが、他人や社会に貢献した上で自分の利益を手にすれば幸せを感じられます。アドラー心理学でいう「貢献感」というものです。
社会の中で生きている限り、他人や社会を蔑ろにしてはいけません。
アダム・グラントが言っているギバーの「与える人」というのも、言い換えれば「貢献する人」です。
他人や社会に貢献する人が、一番成功する。それは直感的にも理解できることです。
自分の中にある自己中心的な感情を否定してはいけません。
問題は、どのように自己中心的な感情を満たすか。
自分の利益を後回しにし、他人に与え、社会に貢献することで満たされる自己中心性は、自分・他人・社会の三方良しを実現するもっとも最適な方法なのです。











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