最終更新日 2023年9月14日
こんにちは、竜崎(@ddd__web)です。
この記事を読んでいるということは、みなさん「ストア派」に興味をお持ちですよね。
ストア派は約2000年前の古代ギリシャの哲学であり、ゼノンという人が創始した哲学です。
一見、「2000年前の哲学が現代に何の役に立つのか?」と思う人もいるかもしれませんが、近年ストア哲学は多くの著名人から注目されています。
というのも、ストア派の哲学は2000年以上の時が経過した現代においても有益であり、より良く生きる手助けになってくれるものです。
私自身、数年前にストア哲学と出会ってから、古代ストア派の人々の知恵に何度も救われてきました。
今回の記事では、ストア派とはどういった哲学なのかをザックリ解説し、後半ではストア派の哲学を学ぶのにおすすめの本を紹介していきます。
古代ストア派の人々の知恵は、現代社会で悩みを抱えるすべての人に役立つものです。
ストア派とはどういう哲学なのか、学ぶのにおすすめの本が知りたい人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
ストア派とは
おすすめの本の紹介する前に、まずはストア派とはどういう哲学なのか、具体的にはどういう思想を持った人たちなのかを簡単に解説していきます。
ストア派の核となっている思想は、以下の3つです。
- 心穏やかにより良く生きること。
- 自然に従って生きる。
- 不動心で自分の運命を受け入れる。
詳しく見ていきましょう。
心穏やかにより良く生きること
ストア派とは、キティオンのゼノンが紀元前3世紀に創始した哲学派のことです。
今ではヘレニズム時代を代表する哲学として親しまれ、古代ギリシャ時代では「ストア派」「アカデメイア派」「エピクロス派」「ペリパトス派」は四大学派と呼ばれるほどの力を持っていました。
ストア派の哲学は人によって解釈が異なりますが、
「自らの運命を受け入れ、感情を手懐ける方法を知り、不動心を身につけ、心穏やかにより良く生きること」
がストア派の本質となっています。
つまり、「人間が自由で幸福に生きるためにはどうすればいいか?」ということを、追求していくのがストア派の目的です。
ちなみに、ストア派と似ている思想に「エピクロス派」という学派があり、ストア派とエピクロス派はよく「禁欲主義」と「快楽主義」として対比されています。
ストア派は運命を受け入れ、精神的な鍛錬によって「不動心(アパテイア)」を手にすることが目的の哲学です。
言い換えれば、欲に振り回されないようにすることを目的とした「禁欲主義」ですね。
それに対し、エピクロス派は愛情や友情、その他人間に含まれる自然的で必要な欲求を追求する「快楽主義」という立場になります。
こちらは「心の平穏(アタラクシア)」を目指すのを目的とし、できるだけ世間から隠れて生きることで、心の平穏を達成しようとする哲学です。
- ストア派⇒禁欲主義。欲に振り回されるのではなく、欲を手懐ける生き方。不動心(アパテイア)が目的。
- エピクロス派⇒快楽主義。自然な欲求を追求し、隠れながら平穏に暮らす生き方。心の平穏(アタラクシア)が目的。
一見、両者は対立する思想のように感じますが、ストア派もエピクロス派も、自由と幸福について追求し、人間として幸せに生きることを目指している点で共通しています。
自然に従って生きる
次に、ストア派の重要な思想の一つ、「自然に従って生きる」ことについてです。
人生は生きていれば自分では決してどうすることもできない出来事がたくさん起こるでしょう。
その一つひとつの出来事に反応し、恨んだり憎んだり怒ったり悲しんだりしていれば、どんなにメンタルが強くても生きることに疲れてしまいます。
ストア派では、そうした出来事に振り回されないために自らの運命を受け入れ、感情を手懐ける必要があると考えました。
そうした生き方を「自然に従って生きる」と呼んだのです。
「自然に従って生きる=感情を手懐け、自らの運命を受け入れる生き方」
ストア派の代表的な実践者であり、古代ローマ帝国の哲学者だったセネカは、毎日すべてを失う覚悟をして生きていたと言われています。
実際、セネカは皇帝ネロに自害を命じられ、取り乱すことなく命を絶ちました。
ストア派の人たちは、自分の運命を受け入れ、自然に従って生きることで、感情を手懐けることを目指しています。
ですが、それは物事を諦めるという意味ではありません。
諦めることと受け入れることは別で、前者は受動的な生き方ですが、後者は能動的な生き方です。
ストア派の人たちは能動的に人生を生き、自由と心の平穏を大切にしていました。
不動心で自分の運命を受け入れる
ストア派は自分の運命を受け入れることを重視しています。
それは、人は自分にとって嫌な出来事や悲しい出来事が起きると、本能的にその出来事を恨んだり憎んだりしてしまうからです。
ですが、何かの出来事が起きたときにその出来事から教訓を学び、自分の運命だと受け入れる考えを持つことで心の平穏を実現できます。
ストア派の人たちは自然に従って生きることを目的としているため、自分を取り巻く状況や環境、起きる出来事や運命というものを受け入れている人たちです。
そして、自分の運命を受け入れるためには自分の感情をコントロールし、アパテイアを手に入れなければなりません。
たとえ明日仕事をクビになろうが、家が火事になろうが取り乱さない。
ガンが見つかり闘病生活になろうが、感情を取り取り乱すことなく、自分の運命を受け入れて生きる。
これがストア哲学の不動心(アパテイア)というものです。
ストア派が大事にしていたのは何よりも心の平穏であり、心の平穏を実現するためにアパテイアが必要なのです。
ストア哲学を学ぶのにおすすめの本
ここまで、ストア派とはどういう哲学なのかについて解説してきました。
そしてここからは、さらにストア哲学について学びたい人におすすめの本を紹介していきます。
おすすめは、以下の8冊です。
- 迷いを断つためのストア哲学/マッシモ・ピリウーチ
- 良き人生について/ウィリアム・B・アーヴァイン
- ヘレニズム哲学-ストア派、エピクロス派、懐疑派/A.A.ロング
- ストア派の哲人たち/國方栄二
- 奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業/荻野 弘之
- 生の短さについて/セネカ
- 自省録/マルクス・アウレリウス
- ストア派哲学入門/ライアン・ホリデイ
それぞれ簡単に内容を紹介していきます。
迷いを断つためのストア哲学/マッシモ・ピリウーチ
ストア哲学についての本をはじめて読むのであれば、マッシモ・ピリウーチの「迷いを断つためのストア哲学」が断然おすすめです。
この本はストア哲学の思想の隅から隅まで解説されており、実生活の中でどのようにストア哲学を生かせばいいのかについても詳しく述べてあります。
前半はストア哲学の基本的な思想を解説し、後半では「普段どのようなことを意識すればいいのか」といった実践的な知恵も学べます。
ストア哲学に関心がある人すべてに自信を持っておすすめできる本です。
良き人生について/ウィリアム・B・アーヴァイン
アーヴァインの「良き人生について」では、ストア哲学のはじまりから実践の仕方、人生や心理面でのアドバイスが的確に述べられています。
ストア哲学を知るだけでなく、「より良い人生を送るためにはどうすばいいのか」といった深い部分まで知ることができ、実生活の中で本当に役立つ知恵が学べる本です。
人生や生き方、幸福から人間関係まで、人生における悩みのすべてをカバーしている良書だと言えます。
ヘレニズム哲学-ストア派、エピクロス派、懐疑派/A.A.ロング
ストア哲学について深く学びたいのであれば、ヘレニズム期のほかの哲学や宗派についても理解しておくのがおすすめ。
その際に役立つのが、ロングの「ヘレニズム哲学」です。
こちらの本は、ヘレニズム期の重要とされる学派の哲学について詳しく網羅されており、特にストア派について解説している部分が多くなっています。
ほかの哲学派と対比しながら考えられる点も、自分なりのストア哲学を解釈する助けとなるでしょう。
ストア派の哲人たち/國方栄二
「ストア派の哲人たち」では、ストア派の前身であるキュニコス学派から初期のストア哲学まで詳しくまとめられています。
もちろん、セネカやエピクテトス、マルクス・アウレリウスなどのストア派を代表する人物の思想も詳しく紹介されているので、これ一冊でストア派の知恵をインプットできるでしょう。
ストア派の思想の痒い所にも手が届く内容となっているため、本格的にストア哲学を学ぶのであればぜひ読んでおきたい一冊です。
奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業/荻野 弘之
「奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業」では、ストア哲学の実践者であるエピクテトスの知恵をマンガで読めるようになっています。
実際の生活の中で抱える悩みや問題、人間関係や感情のコントロールなどについて、その場でエピクテトスからアドバイスをもらえるように学べる本です。
人生の悩みは大抵「仕事」「お金」「人間関係」に集約されますが、それぞれについて「どう向き合えばいいか」を教えてくれます。
人生に悩みを抱えている人は、一度読めば今までとは違った視点で人生を生きられるようになりますよ。
生の短さについて/セネカ
古代ローマにおいて、ストア派の実践者として有名なのがセネカです。
この記事でも述べてきたとおり、セネカは死ぬまでストア派として生きた唯一の実践者でもあります。
特に「生の短さについて」では、ストア派がどう生きるべきかについて詳しく述べられているので、かなり刺激的です。
ストア哲学のみならず、人生の生き方について教えてくれる良書なので、哲学に興味がある人はぜひ読んでおきましょう。
自省録/マルクス・アウレリウス
マルクス・アウレリウスの「自省録」は、おそらくストア哲学に関する本でもっとも有名な本の一つです。
自省録には第16代ローマ皇帝であったアウレリウスが、自分に言い聞かせる日記のような形で、ストア哲学を日々実践していた記録を読むことができます。
内容的にも読みやすく、誰でも簡単に実践できる内容なので、日々の生活で参考になることが多いです。
こちらもセネカ同様、ストア哲学を理解するのに必須の本といえますね。
ストア派哲学入門/ライアン・ホリデイ
時間にあまり余裕がない人は「ストア派哲学入門」を毎日1ページずつ読むことで、手軽にストア派の思想を知ることができます。
タイトル通り、ストア哲学の入門書といったところです。
セネカをはじめ、マルクス・アウレリウスやエピクテトスといった、ストア派の偉人たちの言葉が網羅されていて、はじめての人でもとても読みやすくなっています。
哲学の本は難しいものが多いですが、この本は1日1ぺージ読むだけで基本的なストア哲学の思想をインプットできて便利です。
【まとめ】ストア派の哲学を学ぶことで人生が生きやすくなる
今回の記事では、ストア派とはどういった哲学なのか、ストア派の哲学を学ぶのにおすすめの本まで紹介してきました。
まとめは以下のとおり。
- ストア派とは、心穏やかに生きることを目的とした哲学。
- 自然に従って生き、不動心(アパテイア)を手にすることが目的。
- 自分の運命を受け入れることで、心穏やかに生きられると考えた。
「哲学」と聞くと、多くの人は反射的に難しいものだとイメージしてしまうでしょう。
ですが、ストア派の哲学は比較的理解しやすく、それでいて実生活に役立つ実践的な哲学となっています。
ストア派は約2000年前の哲学ではありますが、彼らの知恵は現代においても非常に有益なものばかりです。
私もストア哲学に出会ってからというもの、人生の価値観や生き方が大きく変わり、以前より自分らしく楽しく人生を生きています。
ストア哲学に少しでも興味がある人は、ぜひ今回紹介した本を読み、ストア派の思想をインプットしてみてください。
きっとストア哲学を学ぶ前と後では、人生をまったく違った視点で生きられるでしょう。
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