こんにちは、竜崎です!
現代社会の中で生きていると、身体的にも精神的にも追い詰められてしまう人もいるでしょう。
そうした人の中には、いっそのこと死んでしまいたいと思っている人も決して少なくありません。

しかし、その生きづらさの正体は現代社会のせいではなく、結局のところ、自分の感情をコントロールできていないことが原因となっています。
もちろん、人によっては状況や環境のせいで生きづらくなっているケースもあるでしょう。
ですが、およそ大半の人たちが抱える悩みは、自分の感情の暴走が原因となっていることが多いのも事実です。
そこで今回の記事では、感情をコントロールすることに長けた古代ギリシャの哲学、ストア派の哲学を学ぶのにおすすめの本を紹介していきます。
- ストア哲学とはどういう哲学なのか。
- ストア哲学を学ぶのにおすすめの本

目次
ストア派とは
おすすめの本の紹介する前に、まずはストア哲学とはどういった哲学なのか、ストア派の人たちとはどういう思想を持った人たちなのかを簡単に説明します。
ストア派の主な思想は、以下の3つです。
- 心穏やかにより良く生きること。
- 自然に従って生きる。
- 何事にも依存と執着をしない。
心穏やかにより良く生きること

ストア派とは、キティオンのゼノンによって紀元前3世紀から発展してきた学派のことです。
今ではヘレニズム時代を代表する哲学として親しまれ、古代ギリシャ時代において「ストア派」「アカデメイア派」「エピクロス派」「ペリパトス派」は四大学派と呼ばれるほどの力を持っていました。
ストア派の哲学は人によって解釈が異なりますが、個人的には「自らの運命を受け入れ、感情を手懐ける方法を知り、不動心を身につけ、心穏やかにより良く生きること」がストア派の本質だと思っています。

ちなみに、ストア派と似ている思想に「エピクロス派」という学派があり、ストア派とエピクロス派はよく「禁欲主義」と「快楽主義」として対比されることがあります。
ストア派は運命を受け入れ、日々の精神的な鍛錬によって「不動心(アパテイア)」を手にすることが目的の哲学です。
言い換えれば、欲に振り回されないようにすることを目的とした「禁欲主義」ですね。
それに対し、エピクロス派は愛情や友情、その他人間に含まれる自然的で必要な欲求を追求する「快楽主義」という立場になります。
こちらは「心の平穏(アタラクシア)」を目指すのを目的とし、できるだけ世間から隠れて生きることで、心の平穏を達成する哲学です。
- ストア派⇒禁欲主義。欲に振り回されるのではなく、欲を手懐ける生き方。不動心(アパテイア)が目的。
- エピクロス派⇒快楽主義。自然な欲求を追求し、隠れながら平穏に暮らす生き方。心の平穏(アタラクシア)が目的
一見、両者は対立する思想のように感じますが、ストア派もエピクロス派も、自由と幸福について追求し、人間として幸せに生きることを目指している点で共通しています。
自然に従って生きる

次に、ストア派の重要な思想の一つ、「自然に従って生きる」ことについて解説します。
人生は生きていれば自分では決してどうすることもできない出来事がたくさん起こるでしょう。
その一つひとつの出来事に過剰反応し、恨んだり憎んだり怒ったり悲しんだりしていれば、どんなにメンタルが強くても生きることに疲れてしまいます。

ストア派では、そうした出来事に振り回されないために自らの運命を受け入れ、感情を手懐ける必要があると考えました。そうした生き方を「自然に従って生きる」と称したのです。
自然に従って生きる=感情を手懐け、自らの運命を受け入れる生き方。
ストア派の代表的な実践者であり、古代ローマ帝国の哲学者であるセネカは、毎日すべてを失う覚悟をして生きていたと言われています。
モノが壊れようが財産を失おうが家がなくなろうが、家族が死のうが自分が死ぬ運命になろうが、彼はすべてを受け入れました。セネカは皇帝ネロに自害を命じられ、取り乱すことなく命を絶ったのです。
ストア派の人たちは、自分の運命を受け入れ、自然に従って生きることで、感情を手懐けることを目指しています。
ですが、それは決して物事を諦めろと言っているわけではありません。
諦めることと受け入れることは別物であって、前者は受動的な生き方ですが、後者は能動的な生き方です。
ストア派の人たちは能動的に人生を生き、自由と心の平穏を大切にしていました。
何事にも依存と執着をしない

ストア派は自分の運命を受け入れることを重視しています。それは、人は自分にとって嫌な出来事や悲しい出来事が起きると、本能的にその出来事を恨んだり憎んだりしてしまうからです。
ですが、何かの出来事が起きた時にその出来事から教訓を学び、自分の運命だと受け入れる考えを持つことで心の平穏を実現できます。
ストア派の人たちは自然に従って生きることを目的としているため、自分を取り巻く状況や環境、起きる出来事や運命というものを受け入れている人たちです。

すべての出来事が自分の糧となり教訓となる。出来事から何かを学ぶことで人間的な成長にもつながっていく。
すべてを受け入れる覚悟があるということは、なにも失うものがないということでもあります。
ストア派では「自然に従って生きること」と「自分の運命を受け入れること」を何よりも重視していますが、その先に「感情のコントロール」があるのです。
- 自然に従って生きる。
- 自分の運命を受け入れる。
- 何事にも依存と執着をしない。
たとえ明日仕事をクビになろうが、家が火事になろうが、過剰に取り乱さない。ガンが見つかり闘病生活になろうが、感情を取り取り乱すことなく、すべてを受け入れる覚悟を持って生きる。
これがストア哲学の不動心(アパテイア)というものです。
それは決して命を雑に扱っているわけではありません。ストア派の人であっても、家に強盗が入ってきてナイフを突きつけられれば抵抗するでしょうし、致命傷になる出来事なら予め避けておくのが懸命な判断だといえます。

依存と執着を排除した先にしかアパテイアは存在しないのです。
現代に役立つストア派の思想

人は依存と執着があると弱くなってしまいます。「何かを守りたい」「失いたくない」という感情は強いもののように見えますが、実は自分自身を弱くしているのです。
アパテイアは依存や執着という鎖から自分を解き放ち、現代の陳腐な意味合いの自由ではなく、本当の意味での自由をもたらしてくれます。
ストア派の哲学は二千年以上も前に存在していたものですが、ストア派の哲人たちが残した知恵は現代社会に生きる人たちにとっても十分役立つものです。

僕は子どもの頃から生きる意味や人生の意味ばかり考えて悩んでいましたが、ストア哲学はその問いに対する答えを与えてくれたのです。
古代ストア派の人々の知恵は、現代社会で悩みを抱えるすべての人に役立つものだと胸を張って言えます。
ストア哲学を学ぶのにおすすめの本
ここまで、ストア派の思想について個人的な解釈を交えながら解説してきました。
ここからはさらにストア哲学について学びたい人に対し、僕が実際にストア哲学を学ぶのに参考となった6冊を紹介します。
- 迷いを断つためのストア哲学/マッシモ・ピリウーチ
- 良き人生について/ウィリアム・B・アーヴァイン
- ヘレニズム哲学-ストア派、エピクロス派、懐疑派/A.A.ロング
- 生の短さについて/セネカ
- 自省録/マルクス・アウレリウス
- ストア派哲学入門/ライアン・ホリデイ

迷いを断つためのストア哲学/マッシモ・ピリウーチ
ストア哲学についての本をはじめて読むのであれば、マッシモ・ピリウーチの「迷いを断つためのストア哲学」が断然おすすめです。
この本はストア哲学の思想の隅から隅まで解説されており、実生活の中でどのようにストア哲学を生かせばいいのかについても詳しく述べてあります。
前半はストア哲学の基本的な思想を解説し、後半では普段どのようなことを意識すればいいのかといった実践的な知識を身につけるも可能です。

良き人生について/ウィリアム・B・アーヴァイン
アーヴァインの「良き人生について」では、ストア哲学の勃興から実践の仕方、人生や心理面でのアドバイスが的確に述べられています。
ストア哲学を知るだけでなく、「より良い人生を送るためにはどうすばいいのか」といった深い部分まで知ることができ、実生活の中で本当に役立つ知恵が手に入るでしょう。

ヘレニズム哲学-ストア派、エピクロス派、懐疑派/A.A.ロング
ストア哲学についてさらに深く踏み込んでいきたいのであれば、ヘレニズム期のほかの哲学や宗派についても理解しておくのがいいでしょう。
その際におすすめとなるのが、ロングの「ヘレニズム哲学」です。
こちらの本は、ヘレニズム期の重要とされる学派の哲学について詳しく網羅されており、特にストア派について解説している部分が多くなっています。

生の短さについて/セネカ
古代ローマにおいて、ストア派の実践者として有名なのがセネカです。
この記事でも述べてきたとおり、セネカは死ぬまでストア派として生きた唯一の実践者でもあります。
特に「生の短さについて」では、ストア派がどう生きるべきかについて詳しく述べられているので、かなり刺激的です。

自省録/マルクス・アウレリウス
マルクス・アウレリウスの「自省録」は、おそらくストア哲学に関する本でもっとも有名な本の一つです。
自省録には、第16代ローマ皇帝であったアウレリウスが、自分に言い聞かせる日記のような形で、ストア哲学を日々実践していた記録を読むことができます。

ストア派哲学入門/ライアン・ホリデイ
時間にあまり余裕がない人は「ストア派哲学入門」を毎日1ページずつ読むことで、手軽にストア派の思想を知ることができます。タイトル通り、ストア哲学の入門書といったところです。
セネカをはじめ、マルクス・アウレリウスやエピクテトスといった、ストア派の偉人たちの言葉が網羅されていて、はじめての人でもとても読みやすくなっています。

【まとめ】ストア派は現代を生き抜くための哲学

今回の記事では、ストア哲学の思想からおすすめの本まで紹介してきました。
- ストア哲学とはどういう哲学なのか。
- ストア哲学を学ぶのにおすすめの本。
「哲学」と聞くと、多くの人は反射的に難しいものだとイメージしてしまうでしょう。
ですが、ストア派の哲学は比較的理解しやすく、それでいて実生活に役立つ実践的な哲学となっています。
現代は昔より豊かになったことで思わぬ副作用を引き起こしてしまいました。
仕事や人間関係の悩み、恋愛や人生そのものについての悩みなど、現代人は生活の安定を手に入れることで、生きることや人生についての悩みを多く抱えています。
ストア派の哲学はそうした現代人に、「今を生きることの大切さ」を説き、どうすれば自分を見失うことなく、より良い人生を生きられるかを教えてくれるものです。
ストア派がほかの哲学よりも優れているのは、実践的な側面に沿っている点にあります。

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