最終更新日 2024年12月16日
「好きなことを仕事にする」という考えは、昔から人気がある考え方です。
好きなことを仕事にすればストレスもなく、毎日自分らしく楽しく働き、それでいてお金まで稼ぐことができる。
自分の好きなことを仕事にできると、おそらくほとんどの人は今よりも生活の質が上がり、ストレスもなくなり、活き活きと仕事ができるでしょう。
近年はYouTubeをはじめ、InstagramなどのSNSを通じて自分の好きなことを発信してお金を稼いでいる人が増えています。
食べるのが好きな人は地元の美味しいお店を紹介したり、筋トレが好きな人はトレーニングに関する知識を発信したり、写真が撮るのが好きな人はSNSに投稿したり、歌うのが好きな人は歌ってみたなどの動画を投稿する。
現代はデジタル革命により、誰でも自分の好きなことを発信し、自分の好きな仕事でお金を稼ぐチャンスがあります。
しかし、だからといって安易に好きなことを仕事にするのはおすすしません。
好きな仕事をするのは素晴らしいことですが、「好きなことを仕事にすれば働くことも苦ではなくなり、楽しくお金を稼げる!」と思っているのなら、やめておきましょう。
今回の記事では、「好きなことを仕事にするな」の真意について解説し、現実的なアプローチ方法まで詳しく紹介していきます。
好きなことを仕事にしようと思っている人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
安易に好きなことを仕事にするな
まず前提として、好きなことを仕事にするのはとても素晴らしいことです。
誰にだって食事、睡眠、性行為、恋愛、音楽、写真、読書、旅行、運動、スポーツ、マンガ、アニメ、ゲーム、アイドルなど、好きなことは何かひとつくらいはあります。
ですが、好きなことを仕事にするというのはそんなに簡単な話ではなく、勢いだけで好きなことを仕事にするとほとんど失敗します。
なぜなら、巷で言われている「好きなことを仕事にしよう」という言葉には、肝心な部分が抜け落ちているのです。
「好きなことを仕事にする」の間違い
はじめにも言ったように、現代では誰でも自分の好きなことを仕事にするチャンスがあります。
インターネットさえあれば、誰もが自分の好きなことを発信することで、好きなことを仕事にすることができる時代です。
インターネットがない時代で好きなことを仕事にするには、ラーメンが好きならラーメン屋を開くといったことしかできませんでした。
でも、こうした「ラーメンが好きだからラーメンに関する情報を発信しよう!」という考えで、好きなことを仕事にするのは間違いです。
「ゲームが好きだからゲーム実況をしよう!」「アニメが好きだからアニメの解説動画を作ろう!」「アイドルが好きだからアイドルに関する情報を発信しよう!」というのも、すべて間違いです。
これは好きなことを仕事にして後悔するパターンであり、もしこのような考えで好きなことを仕事にしようか考えているのなら、アドバイスはひとつ。
好きなことを仕事にするな。
好きなことを仕事にするのに必要なこと
では、「ゲームが好きだからゲーム実況をしよう!」「アニメが好きだからアニメの解説動画を作ろう!」「アイドルが好きだからアイドルに関する情報を発信しよう!」という考えの何が間違いなのか。
それは、「好きなこと」と「好きなことを届ける作業」は別物だからです。
好きなことで稼ぐためにブログやYoutube、SNSをはじめても、そこで提供するコンテンツは好きかもしれませんが、文章を書くことや動画を編集するという作業が好きでなければ、それは「好きな仕事をしている」とは言えません。
本が好きな人が本屋で働くのがナンセンスなのと同じで、たとえ本が好きだったとしても、本の手触りや匂いが好きな人は本屋で働くのは天職かもしれませんが、接客が苦手な人は本が好きでも本屋で働くのは苦痛でしかありません。
ゲーム実況にしても、ゲームは好きでもしゃべることが得意でない人がやっても、おもしろくもなんともありません。
むしろゲームすることを重荷に感じ、ゲーム自体が嫌いになってしまうかもしれない。
好きなことを仕事にすると嫌いになることがあるのは、好きなことと好きなことを届けるための作業の違いを考えていないからです。
たとえマンガが好きだとしても、マンガを書くという作業が好きでなければ、マンガ家になるとマンガが嫌いになっていきます。
マンガが好きな気持ちよりも、マンガを書くという作業から受ける苦痛のほうが大きい状態。
これが好きなことを仕事にすると嫌いになるという現象のカラクリです。
「好きなこと」ではなく「作業」が好きかどうか
本当の意味で好きなことを仕事にするためには、好きなことはもちろんのこと、その好きなことを届ける作業も好きでなければなりません。
ただ知識があって、詳しく書けるジャンルがあるからwebライターをやろうと思っても、肝心の文章を書くという作業が好きでなければ、好きな仕事をしているとは言えません。
好きなことを仕事にするために、ブログやSNS、YouTubeやゲーム実況などをはじめる人は多いですが、考えるべきはそのコンテンツが好きかどうかではなく、文章を書く、発信する、動画編集する、おしゃべりをすることが好きかどうかです。
そこが苦手であるなら、好きなことを仕事にしても、結局はなにも変わらず、仕事からストレスを感じることになるでしょう。
ですが、「好きなことを仕事にするな」というのは、あくまでコンテンツと作業は別物だよ、という意味であり、もし作業に苦痛が伴うとしても、それ以上に好きな気持ちが強いのであれば、挑戦してみるのもアリです。
「生みの苦しみ」という言葉があるように、ミュージシャンが作曲を苦手だと思っていたり、作家が執筆作業をつらいと感じていることがあるように、好きなことを届けるためにはある程度の苦しみがあるもの。
「好きなことを仕事にすれば幸せ」という幻想に酔うべきではありませんが、幸せを感じるためには仕事を好きにならなければならないのも、また事実です。
好きことを仕事にするときのステップ
好きことを仕事にするときのリスクも理解し、それでもやはり好きなことを仕事にしたいと思う人もいるでしょう。
そうしたときは焦って失敗するリスクを減らすためにも、1歩1歩進んでいくのが現実的なアプローチ法です。
以下では、好きなことを仕事にするときのステップを5つに分けて紹介していきます。
- 小さく始めてみる
- 継続できるか考える
- 最低限のお金を用意する
- 逃げ場を作っておく
- 覚悟を決めて取り組む
【ステップ1】小さく始めてみる
好きなことを仕事にするときは、まずは小さく始めてみましょう。
作家、漫画家、写真家、ミュージシャン、ゲーム実況、ストリーマー、YouTuber、ブロガー、プログラマー、ライター、その他もろもろ。
好きなことを仕事にしたいと思ったときは、まずはリスクを最小限に抑え、実際にやってみる。
好きなことを仕事にしようと意気込む人の中には、「好きだから頑張れば大丈夫!」といきなりリスクを取って会社を辞める人もいますが、現実は頑張ればどうにかなるものでも、努力が必ず報われるとも限りません。
だからこそ、始めるときは小さく始め、うまくいかなかったときのリスクを最小限にする必要があります。
つまり、まずは副業として挑戦するのがベストということ。
本業の傍ら、余暇の時間を活用し、副業として好きなことをやってみる。
実際に取り組んでみてから「好きだと思っていたけど、本当はそんなに好きではなかった」と気づくこともあるでしょう。
好きなことを仕事にしたときの感情の動きを知るには、実際にやってみるのが一番です。
【ステップ2】継続できるか考える
好きなことを小さく始めた後は、それを継続して毎日できるかを考えてみましょう。
好きなことを仕事にして嫌いになってしまうことがあるのは、好きなときに好きに取り組むことができるからです。
そうしたときにも、「好き」という気持ちを武器に、ひたすら継続できるかどうかがポイントです。
判断基準としては、最低でも半年は毎日継続して取り組むことができなければ、好きなことを仕事にするのはやめておいたほうがいいでしょう。
半年継続できないのであれば、それは「仕事にするほどの情熱がない」、つまり、そこまで好きではなかったということです。
好きなことを仕事にしてそれなりに成功するためには、やりたくないときもやり続けるだけの情熱が不可欠。
よく「継続力がない」と悩む人もいますが、それは継続力がないのではなく、その対象に対してそこまでの情熱がないだけです。
本当に好きなことであれば自然と継続することができ、気分が乗らないときでもルーティンのように取り組むことができます。
【ステップ3】最低限のお金を用意する
現実的な問題として、好きなことを仕事にするときはお金の問題がつきまいます。
すでに副業としてある程度収入がある場合も含め、好きなことを仕事にするのであれば、収入が途絶えたときを想定して最低限の生活費を用意しておくのが大事です。
生活防衛費は1人ひとりの環境によっても変わりますが、最低でも1年分の貯金を用意しておくのがおすすめ。
生活防衛費が少なすぎると、早く結果を出さなければと焦り、やってはならないことをやったり、仕事のクオリティを犠牲にしてお金を稼ぐことに躍起になったりします。
好きなことを仕事にすると決めたのであれば、1年間は結果が出なくても大丈夫なだけのお金を作った上で、気持ちの面で余裕をつくっておくのが意外と大事です。
間違っても、生活防衛費がないのにいきなり仕事をやめてはいけません。
勇気を持つことと無謀であること、挑戦と無鉄砲は違います。
好きなことを仕事にするときは、失敗しないことを想定するのではなく、失敗することを想定した上で、生きていくためのお金を用意しておきましょう。
【ステップ4】逃げ場を作っておく
好きなことを仕事にしてやっていくときは、万が一の逃げ場を作っておくことも必要です。
たとえば、実家だったり元の職場だったり、転職先など、うまくいかなかったときのセーフティネットとしての逃げ場を作っておくことで、過度に失敗を恐れることなく、好きな仕事に挑戦することができます。
失敗したら全財産を失い、仕事も生活する手段も失うというリスクがある状態では、どうしても気持ちに迷いが出てしまうもの。
失敗しても逃げ場があることで心の余裕にもつながり、好きな仕事に全力を注ぐことができます。
好きな仕事をするときは、失敗したらすべてを失う背水の陣ではなく、失敗しても逃げ場があり、普通に生活できるというセーフティネットを持っておくのがおすすめです。
【ステップ5】覚悟を決めて取り組む
好きな仕事を小さく始め、半年以上の期間毎日継続でき、最低限の生活防衛費も持ち、万が一の逃げ場も確保したのであれば、後は覚悟を決めて好きなことを仕事にしましょう。
よく言われることですが、好きなことを仕事にして成功するための方法は「成功するまでやり続けること」です。
文章力なんてものは皆無、仕事を見つけるのも精一杯で、はじめの数か月はほとんど収入はなく、何度も会社員に戻ろうかと悩んだこともありました。
それでもとにかくやるしかないと思い、毎日仕事にたくさん応募し、ポートフォリオとなる文章を書き続けた結果、少しずつ仕事をもらえるようになりました。
仕事における「成功」の定義は人それぞれですが、私の場合はその仕事で食べていけるのであれば、それは成功していると思っています。
好きなことを仕事にしたい人は、ぜひ覚悟を持ち、成功するまでやり続けてみてください。
【まとめ】
好きなことを仕事にするのは会社員でいることよりもリスクが高い生き方ですが、もしそれで食べていけるのであれば、今までよりも格段に人生が楽しくなります。
会社での業務はやる意味があるのかわからなかったり、誰の役に立つのかも不明で、やりがいなんてない仕事を毎日淡々と繰り返していたかもしれません。
もちろん、好きな仕事であってもやりたくないことはたくさんあるだろうし、気分が乗らない日もありますが、それでも好きなことを仕事にするというのは、恵まれていて幸せなことです。
会社員だからダメというわけではないし、好きなことを仕事にするのがすごいわけでもありません。
でも、人生はたった一回きりなのだから、好きなことを仕事にしたいと思っているのであればぜひ挑戦してみてください。
この記事で解説したステップに沿って準備していけば、たとえ失敗したとしても死ぬことはなく、挑戦した自分を誇らしく思えるはずです。