最終更新日 2024年2月5日
こんにちは、竜崎(@ddd__web)です。
仕事は人生の多くの時間を費やすものですが、みなさん以下のようなことを思ったことはありませんか?
- 仕事と労働の違いってなんだろう。
- 何が仕事で、何が労働なんだろう。
仕事と労働は同じものだと思われがちですが、まったくの別物です。
ドイツの哲学者であるハンナ・アーレントは、「人間の条件」という本の中で「仕事」と「労働」を明確に区別しました。
アーレントによれば、仕事と労働は以下のように分けられると言います。
- 仕事とは「人間の個々の生命とは別個に、世界に存在し続けていくモノの創造に関わる営み」
- 労働とは「人間の肉体によって消費される、必要物の生産に関わる営み」
まぁ、とてもわかりづらいですね(笑)
簡単に言うと、仕事は「消費以外の価値を生み出すものをつくる活動」、労働は「生活や消費のために仕方なくおこなわれる生産活動」ということです。
今回の記事では、仕事と労働の違いについて解説していき、後半では労働と仕事を分けるポイントまで紹介していきます。
現代では「働きたくない」と思っている人がたくさんいますが、それは「仕事」ではなく「労働」をしているからかもしれません。
仕事と労働の違いについて興味がある人、自分の仕事は仕事なのか労働なのか気になる人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
仕事と労働の違い
昔、労働は奴隷たちがおこなっていた作業であり、地位の高い人たちからは敬遠されていました。
奴隷を雇うお金を持っていた人たちは、生活に必要な労働を奴隷に任せ、自分たちは芸術的作品を作ったりなど創造的な活動をおこなう仕事をしていたのです。
そして昔の時代では、仕事は高貴な活動だと考えられていました。
では、仕事と労働にはどういった違いがあるのか。
ここからはまず、仕事と労働それぞれの具体例を紹介し、現代の仕事と労働について見ていきます。
仕事と労働の具体例
冒頭で紹介したように、ドイツの哲学者であるアーレントによれば、仕事と労働の違いは以下のように分けられます。
- 仕事⇒消費以外の価値を生み出すものをつくる活動。
- 労働⇒生活や消費のために仕方なくおこなわれる生産活動。
この定義から考える「労働」の代表的なものは、食料品や衣服の生産などがそれに当たります。
食料や衣服は人間が消費するために必要であり、人間の生活には欠かせない必需品です。
「生活のために仕方なくやる仕事」、それがアーレントのいう「労働」になります。
- 食料品や衣服など、生きるために必要な生産活動。
- 生活のためにやらなければならない活動。
一方、アーレントが言う「仕事」とは、音楽や絵、詩や工芸品といった、必ずしも生きるために必要ではないものをつくる活動です。
たとえば音楽や小説など、モノづくりなどの芸術的活動全般が仕事に当てはまります。
「生きるための消費ではなく、純粋な創造と楽しみによる行為」、それがアーレントのいう「仕事」です。
- 音楽や絵、詩や工芸品の製作など、生きるために必要ではないものをつくる活動。
- 純粋な楽しみを目的とした活動。
現代は「労働」から解放されつつある
さて、アーレントの仕事は労働を明確に区別しましたが、その区別を現代にそのまま適用することできません。
というのも、アーレントの仕事と労働の区別は一昔前の「フォーディズム的生産体制」のときにこそ意味があったものです。
- ヘンリー・フォードが自動車の大量生産のために導入した作業方式のこと。
- 8時間労働と単純な繰り返し作業のこと。
産業革命後の世界では、とにかく生きるためには働く必要がありました。
フォーディズム時代において、アーレントの言う「仕事」ができる人は一握りの上流階級の人だけです。
それ以外のほとんどの人たちは「労働」をしてお金を稼いでいました。
ですが、現代は「生活のための労働」から解放されつつあります。
昔の時代背景の中では、「仕事」と「労働」を区別し「人間らしく生きるためには労働ではなく仕事をするべきだ」という主張が深い意味を持ちました。
しかし、現代ではすでにアーレントが言う「労働」は消えつつあり、自分に合った職業(仕事)をする自由が全員に与えられています。
もちろん世界的に見ればまだまだモノが足りない国や社会もありますし、日本でも生活のための仕事が完全になくなったわけではありません。
それでも現代は昔に比べてモノに溢れ、日本を含んだ先進国では食料や衣服は有り余っているのが事実です。
つまり、アーレントが述べた「生活や消費のための労働」という定義は、一昔前のものだと言わざるを得ません。
現代では、一人ひとりに「労働」ではなく「仕事」をする選択肢が与えられているのです。
変化する現代の「仕事」
現代は「生活のための労働」から解放され、「創造的な仕事」をする選択肢が1人ひとりに与えられています。
たとえば衣服や料理を作っている人は、どちらも昔は労働の一部だと考えられていたはずです。
しかし、現代では衣服や料理を作ることは「消費」ではなく「創造」に変わりました。
ただ「着る」のではなく、ファッションを「楽しむ」ために服を買う。
ただ「食べる」のではなく、家族や友達と食事を「楽しむ」ために料理は作られている。
衣服をデザインする人も、美味しい料理を作る人も、生きるために仕方なくやっている「労働」ではなく、人々の人生を豊かにする「仕事」をしているのです。
昔の「労働」は、現代では「仕事」に変化している。
イスを消費するために作るのは「労働」です。
ですが、職人がイスの素材から細部までこだわりを持ち、誰にも作れない芸術的なイスを作るのは「仕事」になります。
美術品や工芸品など、何かしらのモノを作ることは「創造する仕事」なのです。
ほかにも、現代で言えばサイトやブログを作ること、ゲームやアプリを作ることも「労働」ではなく「仕事」です。
時代が変われば仕事の変化していきますが、現代においては労働と仕事を区別するのは難しくなっていると言えるでしょう。
労働と仕事を分けるポイント
ここまでは仕事と労働の違いと、現代の仕事について見てきました。
現代では労働から解放されつつありますが、それでもまだまだ労働をしている人はたくさんいます。
働いていて嫌気が差している人は、「仕事」ではなく「労働」をしている可能性が高いといえるでしょう。
そこでここからは、労働と仕事を分けるイントを紹介していきます。
ポイントは、以下の4つです。
- 好きな仕事をしているかどうか。
- お金だけが目的になっていないかどうか。
- 一生懸命やっているかどうか。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
好きな仕事をしているかどうか
現代では「好きを仕事に」というフレーズをよく耳にしますが、自分の好きなことをしている人は、自分の仕事を労働だと思っていないでしょう。
もちろんそれは本人の心意気や考え方の違いにもより、どんな仕事をしていても「自分は労働をしている」と考える人もいます。
ですが、現代は昔よりも格段に自分の仕事に対して意義を感じやすくなっているのが事実です。
労働ではなく仕事をしている人は、ストレスがなく自分から進んで仕事に取り組んでいる。
一方、労働をしている人はできる限り働く時間を短くし、自由な時間が欲しいと思っている。
両者の違いは「好きなを仕事をしているかどうか」です。
好きな仕事とやりたくない仕事では、仕事に対する姿勢が異なり、その姿勢によって「仕事」なのか「労働」なのかの違いが生まれます。
たとえ単純作業をやっていたとしても、その作業が自分の好きな仕事なら労働だとは感じないでしょう。
「労働」なのか「仕事」なのかを分けるポイントは、好きな仕事(作業)をしているかどうか。
自分のやっていることが労働か仕事かをハッキリさせたいときは、「自分はこの仕事(作業)が本当に好きなのか?」と自問してみましょう。
お金だけが目的になっていないかどうか
仕事なのか労働なのかは、働いている目的によっても判断可能です。
たとえば、働いている目的がお金になっている人は、仕事ではなく労働をしていると言えます。
というのも、お金を稼ぐために働くというのは「生活のための活動」だからです。
「お金を稼ぐために働く=生活のために仕方なく働く=労働活動」
多くの人たちの認識では、仕事は「お金を稼ぐため、生活費を稼ぐためにするもの」という考えが一般的です。
お金さえあれば仕事なんてせず、毎日遊んで暮らしたい、そう思っている人も多いでしょう。
だからこそ、現代では仕事に対して嫌悪感を感じている人が多く、できれば働きたくないと思っている人が大多数となっています。
ですが、それらはすべて「仕事」ではなく「労働」をしていることが原因です。
つまり、お金を目的になっているから仕事が労働になり、労働になるから仕事がつまらなくなって働きたくないと感じるのです。
「お金を目的に働く⇒生活のために仕方なく働いている状態⇒労働になる⇒つまらないので働きくない」
もちろん、お金がなければマトモな生活が送れないので、仕事をしてお金を稼ぐことも大切です。
大事なのは「お金だけを目的にしていないか」であり、お金以上に強い働く目的があれば労働ではなく仕事になります。
お金は大事でも、お金のために「仕事」をすると「労働」になる。
仕事を労働にしたくなくないのであれば、仕事内容や人間関係といったお金以外の部分を重視するのがおすすめです。
一生懸命やっているかどうか
アーレントは労働と仕事を明確に分けましたが、現代は仕事と労働を自由に行き来できる時代です。
極端な話、自分が労働だと思えば「労働」であり、仕事をしていると思えばそれは「仕事」になります。
そのためには、自分の中での「仕事」の定義をハッキリさせなければなりません。
他人にとって単純作業が「労働」だとしても、自分にとっては「仕事」になるかもしれない。
自分にとって「労働」だと感じることが、他人にとっては「仕事」になるかもしれない。
自分はどういう仕事(作業)に楽しさを感じるのか、どんな仕事(作業)が嫌なのか、お金以外にどんな目的を持って働きたいのか。
こうした部分がハッキリしていないと、いつまで経ってもお金のためだけに働き、毎日働きたくないと言いながら惰性で仕事することになります。
もちろん、どんな仕事にも嫌なことや大変なことはたくさんあるでしょう。
ですが、「仕事」だからこそ頑張れる部分があるのも事実です。
仕事と労働のもっとも大きな違いは、一生懸命やっているかどうか。
仕事に一生懸命になれるということは、お金以外にもその仕事に真剣になる理由があるはずです。
それこそ、自分の中での労働と仕事を分ける最大のポイントだと言えるでしょう。
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【まとめ】仕事と労働の違いは自分の感覚でも変わる
今回の記事では、仕事と労働の違いについて解説していき、労働と仕事を分けるポイントまで紹介してきました。
まとめは以下のとおりです。
- 仕事は、消費以外の価値を生み出すものをつくる活動のこと。
- 労働は、生活や消費のために仕方なくおこなわれる生産活動のこと。
- 現代は労働ではなく、仕事をする自由が1人ひとりに与えられている。
- 仕事か労働かは「好きな仕事をしているか」「働く目的がお金以外か」で変わる。
- 仕事に一生懸命取り組むことができれば、それは労働ではなく仕事になる。
仕事と労働は普段同じような意味として使われますが、解説してきたとおり、両者には明確な違いがあります。
労働は生活のために仕方なくやるもの、仕事は楽しさや喜びのためにするものと言っても間違いではありません。
現代では、昔は労働だったものでも仕事に変わっているものがたくさんあります。
どんな仕事であっても、自分の好きな仕事(作業)だったり、お金以外に働きたいと思う目的がある場合は、労働ではなく仕事です。
自分にとっての仕事の定義をハッキリさせれば、目の前の仕事が労働なのかどうかも見極められるようになります。
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