最終更新日 2024年2月5日
こんにちは、竜崎(@ddd__web)です。
人生には「良い生き方」と「悪い生き方」がありますが、どういった生き方が良くてどういった生き方が悪いのかを真剣に考えたことがある人は少ないでしょう。
そもそも、「良い生き方」というのは人それぞれで尺度が違うため、他人にとっての良い生き方が自分にとっても良い生き方になるとは限りません。逆もまたしかりです。
おそらくほとんどの人たちは、他人や社会から褒められる生き方を良い生き方だと思い、他人や社会から批判の対象となるような生き方を悪い生き方だと思っているでしょう。
ですが、自分の生き方が良い生き方か悪い生き方なのかを見極めるには「知恵」が必要であり、知恵がなければ人は良い生き方をすることができません。
これはストア派の、自分の力が及ぶものと及ばないものの区別にも通じるところがあります。
今回の記事では、良い生き方に必要だと言われている、古代ギリシャの四元徳についてわかりやすく解説していきます。
四元徳は生き方に迷ったとき、何だか満たされない人生を送っているときの指針となってくれるものです。
目次
四元徳とは
古代ギリシャの哲学者たちは、「人が悪い生き方をするのは、知識がないから」と考えていました。
人が良い生き方をするためには知識が必要であり、その知識というのが四元徳のことです。
四元徳とは「知恵・勇気・自制・公平さ」の4つの徳のことで、これら四元徳(枢要徳)はソクラテスの弟子である、プラトンによる徳の説明に端を発します。
つまり、良い生き方というのは「知恵・勇気・自制・公平さ」が伴っている生き方ということです。
四元徳を使うには知識が必要
四元徳は「知恵・勇気・自制・公平さ」の4つの徳のことですが、それぞれどういうものか簡単に解説すると以下のとおりです。
- 知恵は、複雑な状況に対処するための力。
- 勇気は、倫理的・道徳的に行動するための力。
- 自制は、欲望や欲求に振り回されずに忌避するための力。
- 公正さは、誰にでも平等に接するための力。
古代ギリシャにおいては、これら4つの徳に沿った生き方はすべて良い生き方であり、より良い人生を生きるために人間にとって不可欠なものだと考えられていました。
そして、この4つの徳の力をうまく使いこなすためには知恵とは別に知識が必要で、「知識こそ人間にとっての最高善である」とソクラテスは述べています。
フランシス・ベーコンの「知は力なり」という格言も大体同じ意味ですね。
つまり、知識を持った人間で「知恵・勇気・自制・公正さ」に沿った生き方が良い生き方であり、知識が欠如している人間の「知恵・勇気・自制・公正さ」がない生き方が悪い生き方ということです。
徳を生かすための知識
人間にとって正しいとされる良い生き方は、どんなものであっても知恵・勇気・自制・公正さを欠いていません。
どんな状況や環境に陥っても、目の前の現実を見据え、落ち着いて対処できる冷静な行動の中には「知恵」が。
倫理的・道徳的な行動には、その行動をするための「勇気」が。
暴飲暴食をせずに自分の欲求を抑える行動には「自制心」が。
そして、相手が子どもだろうと老人だろうと、あるいは自分にとって嫌いな人であろうと、誰にでも平等に接することができる人には「公正さ」という正義が備わっています。
良い生き方には、上述した4つの徳である四元徳が備わっているのです。
そしてそれは、知識があるからこそ発揮できる力であり、仮に徳が備わっていても、知識がなければ宝の持ち腐れで徳も錆びれてしまうでしょう。
言うまでもなく、ここで述べている知識とは、勉強ができるかどうかの知識ではなく、自分に備わっているものを活用するための知識です。
時代が変わっても知識は重要
現代社会に生きる大多数の人たちは、古代で言われていた四元徳に沿った良い生き方を実践できている人はほとんどいないでしょう。私もそうです。
勇気と自制と公正さが人間にとって大事なものであることは理解できても、それらを実生活に応用することはとても難しい。
ましてや、現代はソクラテスが生きていた古代とは違い、テクノロジーが社会のいたるところに応用されていて、現代人の生活や仕事、生き方や価値観といったものも昔とは大きく変わっています。
特に社会的な豊かさは古代と現代とのもっとも大きな違いであり、もし仮にソクラテスが現代に来たすれば、汚らしい格好で奴隷を探し回るでしょう。
「君、君、私の奴隷はどこにいる?」
しかし、古代と現代で時代性そのものが違っているとしても、知識が現代において必要でなくなったわけではありません。
何かを学ぶというのは、何かを生かすことにもつながる。
それは自分の良さを引き出し、良い生き方をするために必要なものです。
四元徳を日常生活に活かすには
良い生き方・悪い生き方というのは主観的なものに見えますが、古代ギリシャの哲学者たちにとっては客観的なものでした。
世間に褒められるか非難されるかは関係なく、四元徳に沿った生き方こそ、人間によってただひとつの良い生き方だと考えられていたのです。
では、その四元徳を現代社会で実践するにはどうすればいいのか。
ここからは、四元徳を日常生活に活かす方法を考えていきます。
自分にとっての徳のある行動を考える
何度も言いますが、四元徳は良い生き方をするために必要なものです。
ですが、そもそも良い生き方と悪い生き方が、具体的にはどういった基準で判断されているのかは誰にもわかりません。
単純に考えば、法を犯し、警察に捕まるような行動は悪い生き方だと言えますし、他人に迷惑をかけたりするのも悪い生き方だと言えるでしょう。
しかし、母親からひどい虐待を受けていた人が母親を殺す行動は、世間的に見れば悪い生き方かもしれませんが、本人にとっては良い生き方かもしれません。
自分の身を守ることは四元徳の「勇気」につながるもので、上述した状況では、母親を殺して自分を守る行動が四元徳に沿った生き方になるかもしれないのです。
もちろん人を殺すのはどんな理由でも良い生き方とは言えませんが、こうした状況によって良い生き方の意味が変わる場面では、自分にとっての徳のある行動を考えなければなりません。
自分が持っている知恵を最大限活用し、自分にとって徳のある生き方をする。それは結果として周りの人たちを助けることにもつながります。
ですがそれは、「自己中心的に生きろ」というわけではありません。
四元徳は自分にとっても他人にとっても良い生き方であり、決して周りに迷惑をかける生き方ではないのです。
知識を身につける
古代ギリシャ哲学の中では、悪い生き方というのは人間の無知によって引き起こされ、悪い生き方そのものを求めている人間は存在しないと考えられていました。
言うまでもなく、この考えの源はすべての哲学の祖である、ソクラテスです。
つまり、人間が悪い生き方をするのは知恵が足りていないからであり、自分の頭で行動について考えられないからこそ、道徳的・倫理的に反した悪い生き方をしてしまうのだと言います。
悪い生き方というのは人間の倫理や道徳に反した行動のことであり、古代では四元徳に反した知恵や勇気、自制や公平さを欠いた行動はすべて悪い生き方だと考えられていました。
そうした悪い生き方をするとき、当の本人は決して自分は悪い生き方をしているとは思ってはいません。
無知なるがゆえに、悪い生き方を悪いと判断することができない状態になっているのです。
こうした状態から脱出するには、知識を身につけるしかありません。
現代では、知識は読書や経験によって身につけられ、知識がついてくると内省によって何が悪い生き方なのかがわかってきます。
四元徳を日常生活に活かすためには知識が不可欠であり、知識が良い生き方のすべての土台となるものです。
できることから始める
四元徳は古代ギリシャの哲学者たちの間では、より良い人生のためには不可欠なものだと思われていました。
ソクラテスからはじまり、ストア派の人たちも四元徳を重視しており、徳のある生き方こそ幸福に生きる道だと考えていたのです。
ですが、現代では四元徳や徳のある生き方、より良い人生と言われてもパッとせず、堅苦しいと感じる人のほうが多いでしょう。
ですが、四元徳は人格を鍛えるため、人間性を高めるために必要なものであり、四元徳に沿った生き方をすれば人生をより充実して生きられます。
そのため、良い生き方をするためには、まず自分にできることから始めるのがいいでしょう。
たとえば、
- 知恵を身につけるために、たくさんの本を読む。
- 自分が正しいと思うことには、勇気を持って行動を起こす。
- 欲望に溺れないように、自制心を身につけて感情をコントロールする。
- 人によって態度を変えず、誰にでも公正に接する。
こうしたことから始め、少しずつ日常生活の中での行動を変えていく。
そうすれば、自然と四元徳に沿った生き方ができ、今よりも徳のある生き方ができるようになるでしょう。
完璧に四元徳に沿った生き方はできないかもしれませんが、自分の生き方を変えていけば、人生も良い方向に変わっていきます。
四元徳はより良い人生を生きるための指針であることを忘れずに頭に入れておきましょう。
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まとめ:良い人生かどうかは四元徳が指針
今回の記事では、古代ギリシャの四元徳についてわかりやすく解説してきました。
まとめは以下のとおりです。
- 四元徳とは、「知恵・勇気・自制・公平さ」の4つの徳のこと。
- 知恵は、複雑な状況に対処するための力。
- 勇気は、倫理的・道徳的に行動するための力。
- 自制は、欲望や欲求に振り回されずに忌避するための力。
- 公正さは、誰にでも平等に接するための力。
- 徳を活かすためには知識が必要。
- 四元徳を実践するには、できることから始めること。
古代ギリシャの哲学者たちが重視していた四元徳は、古代に生きていようが現代に生きていようが、良い人生を生きるために大事なものです。
人の脳は過去5万年前から進化していないと言われていますが、人間性や人格、美徳といった部分についても過去二千年前と何も変わっていません。
知識はより良い人生を生きるために不可欠なものであり、悪い生き方を避け、良い生き方をしたいのであれば、四元徳を実践する必要があります。
悪い生き方を避ければ、無理に良い生き方をしようとしなくても、人生は良い方向へと向かっていくでしょう。
これは引き算的な考え方です。悪いものを排除していけば、残ったものはすべて良いものとなります。
良い生き方か悪い生き方かは世間的な評価ではなく、四元徳に一致しているかどうかを指針としましょう。
そうすれば、たとえ結果がどうなろうと、自分は良い生き方をしたと胸を張ることができ、自分に自信を持ちながら勇敢に生きられます。
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