ストア派の哲学から学ぶ、心の平穏を保つ方法を解説。

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最終更新日 2024年12月9日

こんにちは、竜崎(@ddd__web)です。

みなさんは、以下のように思ったことはありませんか?

  • 些細なことですぐにイライラしてしまう。
  • 思い通りにいかないことがあると、すぐに落ち込んでしまう。
  • 人付き合いでストレスを感じてしまう。

誰もが心穏やかに生きたいと思っているにも関わず、現実では心が乱れてしまうことが少なくありません。

仕事などで疲れていると、つい人に当たってしまうこともありますし、嫌なことがあると気持ちが沈んでしまう人も多いでしょう。

実際、心穏やかに生きることはとても難しく、優しい人でも常に優しくはいられないものです。

ですが、できることなら心の平穏を保ちながら、毎日楽しく生きていきたいですよね。

心が平穏であれば豊かに生きられるには言うまでもなく、後悔したりクヨクヨ悩んだり必要以上に落ち込んだりすることが格段に減ります。 

そこで今回の記事では、ストア派の哲学から学ぶ、心の平穏を保つ方法について解説していきます。

「哲学」と聞くと一見難しく思いがちですが、心配いりません。

ここではわかりやすく簡単に解説していきますので、哲学に興味がない人でも理解できます。

心の平穏を保ちながら生きたい人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

心の平穏は感情のコントロールが鍵

心の平穏を保つために参考にする哲学は、古代ギリシャの「ストア派」というものです。

ストア派についての詳しい説明は省きますが、近年ストア派の哲学は世界中で注目されており、芸能人や著名人の間でも人生を生きる指針として役立つものとなっています。

ストア派の思想は、簡単に言うと「感情と欲求をコントロールし、より良く人生を生きる」ことです。

心の平穏を保つには、感情と欲求をコントロールする必要があります。

そして、ストア派が感情と欲求をコントロールするために掲げた概念が、「不動心(アパテイア)」というものです。

 

不動心(アパテイア)=心の平穏

ストア派の不動心(アパテイア)とは、欲求や欲望、一時の感情などによって振り回されない精神的な状態のこと。

つまり、怒りや不安、恐怖や欲望に惑わされない心の強さを持っている状態になります。

こう聞くと、「そんなことは不可能だ」と思うかもしれません。

しかし、ストア派のアパテイアは欲求や欲望、感情や不安のすべてを否定しているわけではないのです。

嫌なことをされればイライラするのが人間ですし、不安の感情を一切失くすことは誰にもできないでしょう。

ストア派が否定しているのは、一時の感情に振り回されてしまうこと。

不動心(アパテイア)とは、自分の感情をしっかりコントロールすることで、心の平穏を実現しようとする思想なのです。

 

自分でコントロールできるものとできないもの

人生では毎日さまざまな出来事に直面します。

仕事や学校での人間関係にはじまり、毎日思い通りにいかないことがたくさん起き、腹立たしいことからイライラすることまでたくさんあるでしょう。

ですが、自分の身に降りかかる出来事の大半は、自分ではどうすることもできません。

ストア派のアパテイアは、外的な出来事、自分でコントロールできない出来事に振り回されるなと戒めています。 

たとえば、好きな人に好きになってもらいたくても他人の心は自分では変えられません。

仕事の残業にイライラしたとしても、一日の仕事量は自分の意志で勝手に変えることはできないでしょう。

車の渋滞や電車の遅延も、たとえどれだけ急いでいて、どれだけ周りに怒鳴り散らかそうが解消されるわけではありません。

  • 他人の心
  • 仕事での残業
  • 車の渋滞
  • 電車の遅延など

こうした「自分の力でコントロールできないもの」をコントロールしようと思ったとき、多くの人たちは日常生活でストレスを溜めてしまいます。

 

自分の思い通りにならないことは放っておく

ストア派のアパテイアは、自分でコントロールできないものは成り行きに任せ、コントロールできないものに対する自分の心のコントロールに力を注ぎます。

つまり、自分の感情の手綱を握るというわけです。

ストア派の人たちは、自分の死や財産の没収という出来事に対しても、取り乱すことなく平常心を保っていました。

それは死や財産の没収といった出来事が自分の意思とは関係がないと考え、自分ではどうしようもできないと知っていたからです。

現代では普通に生きていれば命の危険や財産の没収はまずありませんが、外的な出来事に振り回されない心構えを持つことは、心の平穏を保つ上でとても重要です。

実際、ストレスは自分の思い通りにならないことから生まれます。

  • 思い通りにならないことを、思い通りにしようとする。
  • 自分とは関係がないことに、むやみに首を突っ込む。

こうしたことが原因となり、心の平穏が乱れるのです。

心の平穏を保つコツは、自分の意思でどうにかなるものだけに集中し、自分の意思ではどうにもならないことは放っておくこと。

さらに、感情をコントロールするために自分の意思の力が及ぶものと及ばないものを見極める必要もあります。

 

関係のないことは放っておき、感情をコントロールする

心の平穏のためには、自分でコントロールできるものとできないものを見極めることが大事です。

自分でコントロールできないものに対する考え方や捉え方は、自分次第でいくらでもコントロールすることができます。

さきほども言ったように、仕事が忙しいからと文句や愚痴を言ったところで仕事量が減るわけではありません。

行きたいお店が込んでて入れないからといって、イライラしても何も変わりません。

自分でコントロールできないものに対しては、自分が何を思おうが何も変わらないのです。

それよりも、自分には関係のないことは放っておくことで感情をコントロールし、心を平穏に保っておいたほうがよっぽど有意義でしょう。

何度も言いますが、心の平穏が乱れ、激怒したりイライラしたりするのは、自分ではどうしようもできないこと、自分ではコントロールできないものをコントロールしようとしていることが原因です。 

心の平穏を保つ鍵は、感情のコントロールにあります。

 

心の平穏を保つのに役立つ考え方

ここまではストア派の「不動心(アパテイア)」という概念をベースに、心の平穏を保つコツについて解説してきました。

ここからは、さらに詳しくストア派から心の平穏についての考え方を解説していきます。

ポイントは以下の3つです。

  • より良く生きる方法=心の平穏を保つ方法。
  • 出来事への自分の考え方が大事。
  • アドラー心理学の「課題の分離」という考え方。

心をさらに強くしたい人は、この先もぜひお読みください。

 

より良く生きる方法=心の平穏を保つ方法

ストア派のアパテイアという思想は、よくエピクロス派の「アタラクシア」という考え方と比較されます。

ストア派のアパテイアは、自分にコントロールできないことは成り行きに任せ、自分にコントロールできるものにだけ力を注ぐ思想です。

一方、エピクロス派のアタラクシアは、できる限り世間から遠ざかった隠遁生活を送り、自分にとって本当に大切な人たちと友情や愛情を育み、心と人生の充実を実現するという思想になります。

  • ストア派⇒自分にコントロールできないことは成り行きに任せ、自分にコントロールできるものにだけ力を注ぎ、心の平穏を実現する。
  • エピクロス派⇒世間から遠ざかり、自分にとって大切な人たちとだけ関係を育み、心の平穏を実現する。

一見両者の考えは異なるように思いますが、ストア派のアパテイアもエピクロス派のアタラクシアも、根本的な部分の考え方は共通しています。

どちらの哲学も「心の平穏」「人生の充実」を目的としているのです。

ストア派もエピクロス派も「人生をより良く生きるためにはどうすればいいか」を追求し、アパテイアもアタラクシアも心の平穏を保つために役立ちます。

宗教の目的が人々の不安を和らげるために生まれたのと同じく、ストア派のアパテイアもエピクロス派のアタラクシアも目指す場所はひとつ、心の平穏です。

 

出来事への自分の考え方が大事

ストア派の哲学者であるエピクテトスは、「人を不安にするのは出来事そのものではなく、出来事についての私たちの判断だ」という言葉を残しています。

つまり、怒りや悲しみ、苦しみや絶望を感じるのは出来事そのものからではなく、出来事に対する自分の考え方で不幸になっているということです。

外出していて雨が降ってきたときに、「なんで降ってくるんだ」と自分ではどうしようもできないことに対してイライラするのか。

それとも、「雨が降ってきた、傘を差そう」と思うのとでは、心の状態にかなりの差が生まれます。

エピクテトスはストア派のアパテイアを実践し、「自分でコントロールできるものとできないものを、しっかりと区別せよ」と言っているのです。

ですが、この考えはストア哲学だけのものではありません。

現代ではアドラー心理学の「課題の分離」という考え方でも知られています。

 

アドラー心理学の「課題の分離」

アドラー心理学は、フロイトとユングに並ぶ3大心理学者の1人、アルフレッド・アドラーの心理学です。

近年では「嫌われる勇気」という本で一般的にも広く知られるようになり、現代ではフロイトやユングよりもアドラーの思想が注目を浴びています。

そしてアドラー心理学の核となっている考え方の1つに「課題の分離」があり、この考え方についてアドラーは以下のように述べています。

まずは「これは誰の課題なのか?」を考えましょう。そして課題の分離をしましょう。

どこまでが自分の課題で、どこからが他者の課題なのか、冷静に線引きするのです。

そして他者の課題には介入せず、自分の課題には誰ひとりとして介入させない。

これは具体的で、なおかつ対人関係の悩みを一変させる可能性を秘めた、アドラー心理学ならではの画期的な視点になります。

出典:第2回他者の期待を満たすために生きてはいけない | 嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え

これはストア派の考え方である、「コントロールできるものとコントロールできないものを区別せよ」と同じ意味です。

「他人の心は自分にはどうしようもできない、だからそんなことは気にする必要はなく、自分は自分のことだけに集中せよ」という意味ですね。

アドラー心理学は主に人間関係に重きを置いている心理学ですが、ストア派の心の平穏も、アドラー心理学の人間関係の克服もたったひとつの考え方で達成されます。

すなわち、「自分の力が及ぶもの以外は放っておこう」。

 

【まとめ】心の平穏を保つことが、豊かな人生につながる

今回の記事では、ストア派の哲学を参考にし、心の平穏を保つ方法について解説してきました。

今回の記事でわかったこと
  • 心の平穏の鍵は感情のコントロールにある。
  • 感情のコントロールは、自分に関係のないことを放っておくこと。
  • より良く生きる方法が、心の平穏を保つために役立つ。

ストア派のアパテイアは、心の平穏を保つために役立ちます。

そして、心の平穏は感情をコントロールすることが鍵です。

  • 自分には関係のないことを放っておくこと。
  • 自分の人生に集中すること。
  • 自分でコントロールできることと、できないことを見極めること。

心の平穏を保つことができれば、些細な出来事でイライラしたりせず、常に落ち着いて行動できるでしょう。

ストレスで精神的に参ることも減るでしょうし、嫌なことがあっても必要以上に落ち込むこともなくなります。

心の平穏を保ちたい人は、ストア派から考え方のコツを学んでみましょう。

また、もっと詳しくストア哲学について深く知りたい人は、以下の記事も読んでみてください。

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