アドラーの目的論とフロイトの原因論の違いを解説。

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最終更新日 2024年2月5日

こんにちは、竜崎(@ddd__web)です。

近年、心理学といえば「アドラー心理学」が注目されることが多いです。

アドラー心理学は、オーストラリア出身の心理学者「アルフレッド・アドラー」の心理学であり、今では「個人心理学」として知られています。

アドラーは心理学者としてはフロイトとユングに並び三大巨匠として知られ、「嫌われる勇気」という本で一般的にもアドラー心理学が大きく知れ渡りました。

アドラー心理学は、人間のすべての悩みは人間関係にあるとする個人心理学です。

そして、アドラーに対する心理学として「フロイト心理学」も現代では根強い人気があります。

フロイト心理学は、人間の行動はすべて無意識の領域でおこなわれていると考える「無意識論」の心理学です。

  • アドラー心理学⇒人間のすべての悩みは人間関係にあるとする「個人心理学」
  • フロイト心理学⇒人間の行動はすべて無意識の領域でおこなわれている「無意識論」

現代ではアドラー心理学の考えを「目的論」、フロイト心理学の考えを「原因論」と呼び、両者の心理学はよく比較されています。

そこで今回の記事では、アドラー心理学の目的論とフロイト心理学の原因論の違いを解説していきます。

心理学に興味がある人とは、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

アドラーの目的論

まずはアドラーの目的論について解説していきます。

アドラーの目的論は、人の行動のすべてには目的が存在するという考え方を通し、人間の行動の心理を推測していく心理学です。

たとえば、人間である以上、誰しも一度は感情に振り回されたことがあるでしょう。

怒るほどでもないのに怒ってしまったり、大したことでもないのに悲しんでしまったり、気にしなくていいことまでも気にしてしまったりなど。

自分で自分の感情や気持ちをコントロールできなくなってしまうことは多いです。

ですが、アドラーはそうした感情は誰でもコントロールすることができ、人間は決して感情の奴隷ではない」と述べています。

アドラーの目的論では、人間がある感情を抱く背景には必ず「何かしらの目的」があると考え、日常的にとる行動のすべては目的に沿っておこなわれていると考える。

怒るほどのことでもないのに怒ってしまうのは、怒ることで果たしたい何かしらの目的があるために、「怒り」という感情を使っていると考えるのです。

ほかにも、引きこもりは「外に出るのが怖いから引きこもっている」と考えるのではなく、「引きこもることで注目されたい」「親から心配されたい」という目的を持って引きこもっていると考えます。

目的論的な考え方
  • 怒るのは怒る原因があるからではなく、他人を屈服させたいという目的がある。
  • 引きこもりは外に出るのが怖いからではなく、引きこもることで注目されたいという目的がある。

人間の行動はすべて目的に沿っておこなわれており、行動や感情の裏にある目的について考えることが、自分や他人を知るために重要だとアドラーは述べています。

アドラーの目的論
  • 人間行動の目的を理解する。
  • すべての人間行動には目的がある。
  • 行動の目的は未来にある。
  • 人間行動は未来に向けての創造的な活動といえる。
  • 人間には選択と決断の自由がある。

 

フロイトの原因論

次に、フロイトの原因論について解説していきます。

目的論が、目的に対しての手段として人間が行動や感情を利用すると考えるのに対し、フロイトの原因論dは、人間の行動や感情はすべて「何かしらの原因」があってこそ生じると考えます。

さきほどの「怒るほどでもないのに怒ってしまう」という行動は、フロイトの原因論から言うと怒る原因があるからこそ怒るということです。

人間は目的を持って行動したり感情を使っているのではなく、何かしらの原因があるからこそ行動し、感情が沸いてくるのだとフロイトは述べています。

フロイトの原因論は、原因がなければ人間は行動することも感情を抱くこともなく、怒りや悲しい感情に振り回されることはないという考え。

おそらくほとんどの人たちは、フロイトの原因論のほうがわかりやすく頭にも入りやすいでしょう。

原因論的な考え方
  • 嫌なことをされたから怒る。
  • 悲しいことがあったら泣く。
  • 嫌な仕事をしているからつらい。

これらはすべて原因論的な考え方です。

物事の因果関係を考えるときにも、人は「原因⇒結果」という方向性で物事を考えています。

これは人間には「物事を原因を考えてしまう癖」があることを示しています。

フロイトの原因論
  • 人間行動の原因を理解する。
  • すべての人間行動には原因がある。
  • 行動の原因は過去にある。
  • 人間行動は衝動への受動的な反応である。
  • 人間は本能や環境の犠牲者である。

 

原因論と目的論はどっちが正しいのか

アドラーの目的論と、フロイトの原因論の違いは明確です。

  • 怒りの感情は、怒りによって達成したい「目的」があると考える目的論。
  • 怒りの感情は、何かしらの「原因」があったからこそ沸いてくると考える原因論。

両者の違いを頭に入れた上で、ここからはどちらの心理学が正しいのかを考えていきましょう。

 

目的論と原因論はどちらが正しい?

人は目的と原因のどっちに突き動かされているのか。

結論から言うと、目的と原因の両方です。

自分の行動を考えてもわかるように、何か行動するときに目的を持っている人が多いですよね。

街中へ行くのは新しい服が欲しいからかもしれないし、友達と待ち合わせしているからかもしれない。

あるいは、目的を見つけることが目的になっているかもしれない。

ですが、これはフロイトの原因論でも説明できます。

街中に行くのは、仕事で嫌なことがあってストレスを発散したいからかもしれないし、恋人と喧嘩したからかもしれない。

あるいは、原因がないことが原因となっているかもしれない。

こう考えると、「目的論と原因論のどちらが正しいのか」という問い自体がナンセンスだとわかるでしょう。

人の行動や感情は、目的によって突き動かされていることもあるし、ハッキリとした原因があって突き動かされていることもあります。

考えるべきは、両者の心理学が活躍する場面です。

 

目的論が役立つ場面

現代ではアドラーの目的論的な考え方が、人間の心理にもっとも近いと言われています。

それはつまり、自分の行動や感情について理解したいのであれば、自分が「何を目的としているのか」を考えることが大事だということです。

アドラーの目的論的な考え方は、日常生活にも応用できます。

  • 何か行動をしようとしているときは、その行動に潜む本当の目的を考えてみる。
  • 怒りや悲しみなどの感情が湧いてきたときは、その感情の裏に潜む目的を探してみる。

特に怒りの感情は、何か嫌なことがあったというよりも自分の目的を達成するために怒りの感情を使っているケースが多いです。

怒りの感情は「相手を自分に従わせたい」という目的から沸いているのかもしれないし、悲しい感情は「同情されたい」という目的から沸いてくる感情かもしれません。

感情や行動の目的は本人にしかわかりませんが、目的論的な視点から自分の心理と向き合うことで感情をコントロールできるようになります。

アドラーの目的論がもっとも役立つのは、後悔する行動を減らしたり、感情に振り回されないようにしたいときです。

自分の行動や感情の裏に隠れている目的について考えることで、感情に振り回されず冷静に物事を対処できるようになるでしょう。

目的論が役立つ場面
  • 後悔する行動を減らしたいとき。
  • 感情に振り回されたくないとき。

 

原因論が役立つ場面

アドラーの目的論は、行動の後悔を減らしたり感情のコントロールに適しています。

では、フロイトの原因論はどういったときに役立つのか。

結論から言うと、フロイトの原因論は後ろ向きの心理学とも言われるように、実生活の中ではあまり活躍の場がありません。 

原因論的な考えでは、自分の感情は何かしらの原因があるから湧いてくると考えますが、それだと感情のコントロールができなくなってしまいます。

実生活の中では自分の思い通りにいくことのほうが少なく、外部の出来事はコントロールできないからです。

ほかにも、原因によって自分の感情が決まると考えれば、怒りなどの感情が湧いたとき自分には責任がないという考えにもつながります。

原因論的な考え方

「お前が嫌なことをするから俺は怒るんだ。お前が嫌なことをしなければ俺は怒らないんだ!」

だからといって、フロイト心理学の原因論がまったく役立たないわけではありません。

原因論的な考えでも、責任を原因へ押しつけないのであれば、自分と向き合うのに役立てることができます。

原因論が役立つ場面
  • 自分と向き合うとき。
  • 無意識な感情を理解したいとき。

目的論も原因論も、どちらも結局は使い方が大事ということです。

 

心理学は使い方次第

現代ではアドラーの目的論のほうが、フロイトの原因論よりも注目されています。

ですが、両者の違いを考えるときに大事なのは、そもそも心理学には正解や間違いというものはないのを知ることです。

人間の心理は複雑で、絶対的に正しい「心理」なんてものはありません。

アドラーの目的論もフロイトの原因論も、人間の行動や感情、心理について探求している心理学です。

実際、フロイト心理学は20世紀でもっとも大きな力を持った心理学として現代まで語り継がれています。

そして心理学者の中には、アドラー心理学のほうが間違っていると述べている人もいます。

心理学は万人に通用する普遍的な人間心理を探求する学問ではなく、悩んでいる人や悲しんでいる人、傷ついている人やつらい人たちに寄り添う学問です。

心理学を患者のためになるように使えば正解になり、患者を苦しめる使い方をすれば間違いになる。

心理学には、あくまでも状況に適した心理学があるだけなのです。

 

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まとめ:目的論も原因論も使い方次第

今回の記事では、アドラーの目的論とフロイトの原因論の違いを解説してきました。

まとめは以下のとおり。

今回の記事でわかったこと
  • アドラーの目的論⇒人間には「何かしらの目的」があり、行動のすべては目的に沿っておこなわれていると考える。
  • フロイトの原因論⇒人間の行動や感情はすべて、「何かしらの原因」があってこそ生じると考える。
  • 目的論が役立つのは、後悔する行動を減らしたり、感情に振り回されないようにしたいとき。
  • 原因論が役立つのは、自分と向き合うとき。
  • 目的論と原因論はどちらも正しく、間違いなんてものはない。
  • 心理学は使い方次第で善にも悪にもなる。

現代ではアドラーもフロイトも心理学者の巨匠として知られています。

アドラーの目的論は人間行動の目的を理解する心理学であるのに対し、フロイトの原因論は人間行動の原因を理解する心理学です。

目的論と原因論は対立するものに思えますが、どちらが正しいのかという問いはあまり意味がありません。

どちらにも役立つ場面があり、必要なときに利用すればいいだけの話です。

現代ではアドラー心理学の目的論の考え方のほうが有利な立ち位置にありますが、フロイトの原因論も自分と向き合うときに役立ちます。

目的論と原因論の違いを考えるときは、「どちらが正しいか」ではなくそれぞれが役立つ場面を考えてみましょう。

また、アドラー心理学については、以下の記事でも解説しているので、興味がある人は読んでみてください。

アドラーの目的論、フロイトの原因論についてもっと詳しく知りたい人は、以下の本も読んでみましょう。

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