最終更新日 2022年5月14日
こんにちは、竜崎です!
みなさんは、こういった経験をしたことはありませんか?
- 「一度うまくできたことを、もう一度やろうとしたけど失敗した」
- 「他人の実力を勘違いし、後で失望した」
こうした現象は統計学用語で「平均への回帰」と呼ばれ、日常生活の中に溢れています。
平均への回帰の概要は、以下のとおりです。
平均への回帰とは、1回目の試験結果が偏っていた対象について2回目の試験結果を調べると、その平均値は1回目の測定値よりも1回目全体の平均値に近くなるという統計学的現象をいう。
つまり、一回目の結果が平均よりも良かった場合、その結果は偶然によるものであると考え、二回目の結果には偶然がおこらず平均値に落ちつくという現象のことを言います。
一般的には、平均への回帰は統計学などのデータに対して応用するものです。
ですが、今回の記事では難しい統計学の話は一切抜きにして、人生の出来事を平均への回帰の観点から考えて、わかりやすい例で解説していきます。
- 平均への回帰とはどういうものなのか。
- 日常生活の中に溢れる平均への回帰の例。
- 平均への回帰に騙されない方法。

目次
日常生活の例から考える平均への回帰

平均への回帰は、チャールズ・ダーウィンの従兄弟であるフランシス・ゴルトンによって提唱されたものです。

はじめに述べたとおり、平均への回帰は平均とは違う結果が起こったときにその結果は偶然であると考え、次の結果は平均値に戻る、つまり回帰する現象のことです。
ここからはまず、日常生活の例から平均への回帰について解説していきます^^
平均的な生活
ある一日の日常生活を見てみても、毎日なにかしらの予想外の出来事がたくさん起こっているでしょう。
自分が送っている生活は毎日同じことの繰り返しのように見えて、細部まで目を凝らしてみると一日足りとも同じ日がないことがわかります。

休日は仕事がないので自分の好きなように過ごせますが、その限られた休日もよくよく考えてみれば、いつも似たような休日になっていることが多いでしょう。
もちろん、ここでは「一般的な生活」を普通の会社員の生活で考えているため、人によって生活が異なっていることは考慮していません。
日常生活は基本的には同じようなことの繰り返しであり、人生も同じような生活の繰り返しを繰り返して成り立っています。
そうした同じような日々のことを、ここでは「平均的な生活」と定義しておきます。
「朝起きる⇒通勤する⇒仕事をする⇒帰宅する⇒眠る」
「平均的な日」と「平均とは違う日」
さきほども言ったように、日常生活は単純化してしまえば毎日同じことを繰り返すだけのものです。
ですが、実際には一日たりとも同じ日を過ごしていることはありません。
いつもは朝ギリギリまで寝ていたとしても、いつもより早く目が覚める日もあります。
いつもは仕事が終わらなくて残業していたとしても、今日は早く仕事が終わりたくさん余暇の時間があるかもしれない。

これを平均への回帰の観点からわかりやすく言うと、以下のようになります。
いつもギリギリまで寝ている(平均)⇒ある日は早く目覚める(平均とは違う出来事)⇒次の日はいつもどおりギリギリまで寝ている(平均への回帰)
もちろん、これはあくまで一例に過ぎません。
ほかにも、日常生活の中にはたくさんの平均への回帰現象があります。

日常生活の大部分は平均的な日となっていますが、たまに平均から乖離した日が訪れる。
でもそれは一時的な乖離に過ぎませんので、乖離は時間とともになくなっていきます。
これが平均への回帰ということです。
平均に回帰する前には平均とは違う出来事がある
平均への回帰とは、いつもとは違う結果が起こったときに、平均とは違う出来事から再び平均へと戻る現象のことを指しています。
さきほどの日常生活の例でいうと、「ある日たまたま早く起きた日」が平均とは違う出来事であり、「いつもどおりギリギリまで寝ている」というのが平均的な日です。
平均への回帰が起こる前には必ず平均とは違う出来事が起こり、その次はかなり高確率で平均値に戻ることになる。
これは仕事や生活、人生で成功した人なんかにも応用することができます。
つまり、仕事で成功した、結果を出せた、上司から褒められたというのは、平均とは違う出来事が起きたときの状態です。
しかし、多くの人は平均とは違う出来事が起こったときに、その出来事が起こったのは自分の実力と勘違いしてしまいます。

同じことを何度もやっていれば、そのうち偶然いい結果が出ることもあるでしょう。
日常生活は、自分が思っているよりも偶然(平均からの乖離)に支配されているのです。
運を実力と勘違いする平均への回帰
世の中には自分の実力で成功する人もいますが、多くの人の成功は運とタイミングがほとんどだと言われています。
ですが、成功した本人は自分の実力によって結果を出したと思い込んでしまう。
たとえば、
- 100mのタイムがいつもより1秒早くて代表選手に選ばれた。
- でも、そのタイムは単なる平均とは違う出来事の偶然であり、代表選手として走ったときのタイムは平均への回帰により1秒遅くなった。
ということがよくあります。
これは成功した人や結果を出してる人を否定しているわけではなく、「その成功や結果には運が大きく関係しているかもしれない」ということです。
SNSでバズった人や、インフルエンサーと呼ばれる人たちにも同じことが言えるかもしれません。

ですが、実際にはその成功は運と偶然の力が大きいので、その後に続く投稿や動画が同じく注目されることはありません。
そうして、インフルエンサーの多くは時間とともにメッキが剥がれていきます。
世間で一発屋と言われている人たちも、まさに平均への回帰の罠にハマっているのです。
平均への回帰に騙されない方法

ここまでは、日常生活の中に潜む平均への回帰について解説してきました。
平均への回帰は本質とは間違った結果に結びつくため、注意しておかなければなりません。
そこでここからは、平均への回帰に騙されない方法を解説していきます。
ポイントは以下のとおりです。
- 再現性があるか確かめる。
- 謙虚に考える。
- 本当の自分の実力を把握する。

再現性があるか確かめる
いつもとは違う出来事や結果を自分の実力だと思い込んでしまうと、人生の大きな決断を間違ってしまうかもしれません。
副業が偶然うまくいっているだけなのに本業の仕事をやめたりすれば、平均への回帰が起こったときにうまくいかなくなり、仕事や生活に困ってしまうかもしれない。

料理人はたまにしかおいしい料理を作れないのであれば、お店が繁盛することはまずないでしょう。
美容室にしても、いつもガタガタにしか髪を切れず、たまにしかうまく髪が切れないお店が人気店になることはありません。
ほかにも、歯医者や車のエンジニア、プログラマーや外科医といった職業の人たちに、運や偶然が仕事の成功に影響することはないでしょう。
こういった職業では、常に一定の結果を出し続けれなければ評価されることはありません。
- 料理人など何かを作る仕事。
- 美容師のように一定のクオリティを保つ必要がある仕事。
- 歯医者や車のエンジニアなどの技術職。
- プログラマーや外科医のような専門職。
平均への回帰に騙されないコツは、その結果に再現性があるかどうかです。
毎回同じ結果を再現できるようであれば、その結果には平均への回帰は働かないでしょう。
一方、何度も同じ結果が得られない場合は、ほぼ確実に平均への回帰の力が働いてきます。
謙虚に考える
一定期間うまくいっているだけで、自分の実力だと思い込むのは危険です。
そうした時期に、人生の中で重大な決断を下してしまうと痛い目を見てしまうでしょう。
平均とは違う出来事が起これば、ほぼ確実に平均への回帰も起こります。

平均への回帰のタチが悪いのは、平均とは違う結果を出したときに注目が集まる点にあります。
嬉しい結果が出たときに周りから褒められれば、誰だって調子に乗ってしまいますよね。
しかし、それが平均への回帰に騙されることにつながります。
平均への回帰に騙されないためには、結果に対して謙虚に考えることが大事です。
平均から乖離した結果を喜んでも、最終的には平均への回帰の力によってガッカリすることが目に見えています。

期待しない生き方については、「人生にも他人にも自分にも期待しない生き方のススメ。」の記事を読んでみてください^^
本当の自分の実力を把握する
人は目立ったものや普通とは違う出来事に注目してしまう生き物です。
人間の脳はそのようにできているからこそ、人類は現代まで生き延びてこれました。

運やタイミングで成功することが増えた現代において、たまたまうまくいったことや、偶然成功したことを自分の実力だと思い込まずにいるのは困難です。
しかし、人生での失敗や後悔を減らすためには、常に自分の本当の実力を把握しておかなければなりません。
そして平均への回帰を頭に入れておけば、予想外の出来事が起こったときにも謙虚でいられます。
- その結果は、偶然やタイミングの要素が強く働いていないか?
- 以前一度だけうまくいっただけなのに、自分の実力だと思っていないか?
つい調子に乗りそうなときは、上記の質問を自分に投げかけてみましょう。

【まとめ】平均への回帰に騙さずに生きよう!

今回の記事では、日常生活の例から平均への回帰を解説し、平均への回帰に騙されない方法を紹介してきました。
- 平均への回帰とは、平均と違う出来事が起きたときに平均値へ戻る性質のこと。
- 平均への回帰に騙されると、自分の実力を過大評価してしまう。
- 平均への回帰に騙されずに生きると、豊かに生きられる。
平均への回帰は、平均と違う出来事が起きた後に平均値へ戻る性質のことです。
うまくいったことがあったとしても、そこに再現性がなければ自分の実力だとは言えません。
平均への回帰に騙されずに生きるには、以下の3つを意識する必要があります。
- 再現性があるか確かめる。
- 謙虚に考える。
- 本当の自分の実力を把握する。
平均への回帰に騙されなければ、調子に乗って選択や決断を失敗することもありません。
大抵の人が失敗するのは、偶然うまくいっているときに自分の実力を履き違え、決断を間違ってしまう点にあります。

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