【代表性ヒューリスティックの例】人を外見で判断してしまう心理を解説。

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最終更新日 2024年2月5日

こんにちは、竜崎(@ddd__web)です。

みなさんは、以下のような経験をしたことはありませんか?

  • 人をつい外見や見た目で判断してしまう。
  • 目に見える特徴で相手の人柄を判断してしまった。
  • 学歴や職歴などの肩書きに騙されて後悔したことがある。

よく「人は見た目が9割」と言われたりしますが、それは本当なのか気になる人も多いでしょう。

「内面が大事」とは言いつつも、実際には見た目や外見で判断している人もたくさんいます。

結論から言うと、「人は見た目が9割」というのは事実であり、それは人間の脳のバイアスによるものです。

バイアスというのは先入観や思い込みのことであり、脳にはたくさんのバイアスが存在していることが明らかになっています。

つまり、人間の脳には「目立つもの」や「具体的なもの」に惹かれるバイアスがあるのです。

そのバイアスは「代表性ヒューリスティック」というもの。

今回の記事では、代表性ヒューリスティックの例を紹介し、後半では人を外見で判断しない方法を解説していきます。

つい目を惹かれるものや具体的なものに注目してしまう人は、もしかしたら代表性ヒューリスティックに騙されているかもしれません。

人を外見で判断してしまう人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

代表性ヒューリスティックの例

まずはじめに、代表性ヒューリスティックとはどういうバイアスなのかについて簡単に解説します。

代表性ヒューリスティックとは、「代表的、典型的なものの確率を過大評価しやすい意思決定プロセスのこと」です。

簡単に言うと、「相手の目立った特徴を過大評価すること」ですね。

代表性ヒューリスティック

相手の目立った特徴(代表的なもの)を過大評価すること。

概念だけ聞いてもわからないと思うので、代表性ヒューリスティックの例を出しながらわかりやすく解説していきます。

 

代表的なものを過大評価する

代表性ヒューリスティックの具体例としては「リンダ問題」が一番有名です。

リンダ問題とは、以下のような問題のこと。

リンダは31歳の独身女性で、とても賢くて男性にも臆せず堂々と意見が言える性格です。

大学では哲学と心理学を専攻し、学生時代は社会主義と男女差別問題に関する活動に関わったこともあり、原発反対のデモにも参加したことがあります。

さて、現在のリンダを推測する場合、可能性が高いのはどっちでしょうか?

  • A:リンダは銀行員として働いている。
  • B:リンダは銀行員で、フェミニズムとして活動している。

この問題では、半数の以上の人たちがBの答えを選択しました。

ですが可能性が高いのはAであり、「銀行員である確率」のほうが「銀行員でフェミニズムである確率」よりも断然高いです。

冷静に考えると簡単な話ですが、半数以上の人たちは実際に間違った判断をしてしまいました。

代表的、典型的なものの確率を過大評価しやすい意思決定プロセス。

これが代表性ヒューリスティックという脳のバイアスです。

そして代表性ヒューリスティックには「ステレオタイプ」「ハロー効果」という2つのバイアスも深く関係しています。

 

代表性ヒューリスティックとステレオタイプ

ステレオタイプとは、先入観や思い込み、固定観念やレッテルといった、人が持っている偏見の集合体のようなものを指します。

はじめにも言ったように、「人は見た目が9割」とよく言われますが、それは心理学的な側面から考えると真理なのです。

というのも、人間の頭には何かしらのステレオタイプが存在し、ステレオタイプによって人への印象が大きく変わるからですね。

たとえば、ダボダボした服装をしている人をだらしない人だと思ったり、スーツでビシッと決め、黒髪短髪の清潔感がある男性を真面目だと思ったりなど。

他人に対する印象というのは、外見によって大方決まると言っても過言ではないでしょう。 

これは人の頭の中に「ダボダボした服装=だらしない」「スーツ=清潔感がある」というステレオタイプが存在していることによります。

ステレオタイプ
  • ダボダボした服装⇒だらしない人
  • スーツで黒髪短髪⇒真面目な男性

これらのステレオタイプは、人生の中で長い時間をかけて少しずつ形成されていきます。

金髪の若者が騒いで他人に迷惑をかけている場面を多く見れば、頭の中には自然と「金髪=不良」といったステレオタイプが形成されるでしょう。

 

先入観は捨てるのが難しい

ステレオタイプは人間の脳の仕様なので、それに抵抗するのは難しいです。

実際、「人を見かけで判断してはならない」とよく言いますが、それを実践できている人はほとんどいません。

これを読んでいる男性のみなさんは、美人で優しくて性格が良い女性を見たとき、「美女=魅力的」といったステレオタイプを抱かずにいられるか考えてみればわかるでしょう。

人は物心がついたときから自然と先入観を持ちはじめ、無意識のうちに頭の中にステレオタイプを作り上げていきます。

アインシュタインは「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことである」と述べていますが、「常識=ステレオタイプ」とも言い換えられますね。

人は自分でも気づかないうちに、自分の都合のいい先入観を持ち、その先入観によって判断を下している。

たとえその先入観が間違っていたとしても、すでに頭に組み込まれたステレオタイプを捨てることは簡単にはできません。

一度嫌いになった人のことを好きになるのが難しいのと同じく、頭に何かしらのステレオタイプがあるとそれにしがみついてしまうのです。

 

代表性ヒューリスティックとハロー効果

ステレオタイプは元々組み込まれている脳の仕様ですが、ステレオタイプがあることで、さらに思い込みが激しくなる心理学的な効果が現れます。

その効果とは「ハロー効果」です。

ハロー効果とは、ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられてほかの特徴についての評価が歪められる現象のこと。

ハロー効果

目立ちやすい特徴に引きずられ、ほかの特徴の評価が歪んでしまう現象。

たとえば、第一印象から人の性格を勝手に決めてしまうのは、ハロー効果が働いている結果だといえます。

ではなぜ、ステレオタイプがあることでハロー効果が強く働くのか。

さきほども述べたように、ステレオタイプとは先入観や思い込みのことです。

「医者=頭がいい」「パソコンマニア=オタク」といった、言葉や肩書きによって頭に思い浮かぶイメージ。それがステレオタイプです。

ハロー効果では何か1つでも目立った特徴があると、それに引きづられてほかの特徴への評価が歪んでしまいます。

たとえば、「金髪+ダボダボした服装」という特徴があったとき、多くの人はその人のことをあまりよく思わないでしょう。逆に「黒髪短髪+スーツ」という特徴の人に対しては、真面目な人という印象を持ちます。

ですが、服装のような外見的な特徴からは人のことは大してわかりません。

でも人は「黒髪短髪+スーツ」という特徴から、性格を真面目だと思い込んでしまう。これがハロー効果です。

 

具体的で目立つものに注意

ハロー効果は何も外見的な特徴だけに現れるわけではありません。

学歴や職歴、年収や職業、SNSのフォロワー数から結婚しているかどうかといった特徴も含まれます。

目につきやすい特徴や、ほかの人とは違う部分があると、それがハロー効果によってほかの部分にも影響を与える。

人は相手がどんな人かを見極めるときに、その人のもっとも目立つ特徴に注目する傾向があります。

しかし特徴を認識すると同時にハロー効果が現れ、その人のほかの部分に対する評価も歪められてしまうのです。

学歴が素晴らしくても仕事ができない人を採用する面接官は、「学歴」という特徴で「仕事ができそうかどうか」を判断してしまっています。

年収が高い人を頭がいいと思ったり、SNSの人気者は性格が良くカリスマ性があると勘違いするのもハロー効果のなせる業です。

ハロー効果で判断が歪められると、本当に大事な部分に目が向かなくなる。

人間の脳のバイアスを考えると、具体的で目立つものにはより一層注意が必要だといえるでしょう。

 

人を外見で判断しない方法

ここまでは、代表性ヒューリスティックの例を紹介してきました。

また、外見で判断してしまう脳のバイアスとして、ステレオタイプとハロー効果も重要な役割を果たします。

これらのバイアスは人を見た目で判断し、外見から相手の人柄を判断しまう原因です。

では、こうした脳のバイアスに騙されず、人を外見で判断しないためにはどうすればいいのか。

ここからは脳のバイアスを理解した上で、対策をいくつか解説していきます。

 

自分は目に見える特徴に惹かれていると理解する

結論から言うと、代表性ヒューリスティックなどの脳のバイアスに対してできることは多くありません。

バイアスは生まれ持った脳の仕様なので、バイアスを一切失くすことはできないのです。

ですが、バイアスをすべて排除できなくても、自分の判断や認識にバイアスがかかっていることを認識することはできます。

自分の判断にバイアスがかかっているかもしれないと思えば、むやみに人を外見で判断せず冷静に相手と向き合えるでしょう。

人を外見で判断しているときは、ほとんどが無意識的な判断となっています。

誰も「外見で相手の人柄がわかる」と思っているわけではなく、知らずうちに脳のバイアスによって「外見で判断させられている」のです。

大事なのは脳にはバイアスがあることを知り、自分は目に見えるものを過大評価していると理解すること。

よく言われるように、詐欺師に騙されている人は自分が騙されているとは夢にも思っていません。

それと同じく、人を外見で判断している人は自分が外見で相手を判断しているとは認めないでしょう。

人を外見で判断しないためには、自分の判断はバイアスに歪められていることを知るのが一番です。

 

判断する前にまず考える

何度も言うように、代表性ヒューリスティックは人間の脳の仕様なので逆らうのはほぼ不可能です。

ですが、人を判断する前にはまず考え、自分の判断や認識が歪められていないか確認しておきましょう。

「外見」という特徴につられて判断してしまうと、恋人や結婚相手の選択を間違ってしまうかもしれません。

代表性ヒューリスティックに騙され、結婚してから相手の人間性の問題点に気づいても遅いです。

さきほども言ったように、バイアスに対してできるのは「自分は目に見える特徴に惹かれていると理解すること」しかありません。

判断する前に冷静に考えれば、自分は外見で判断しているかどうかにも気づけるはずです。

はじめは難しいかもしれませんが、相手のことを「良い」と思ったときは「どういう点を良いと思ったのか?」と考えてみましょう。

その答えが「外見や見た目の特徴」であるなら、人を外見で判断している可能性が高いです。

 

脳のバイアスを頭に入れておく

人間の脳にはたくさんのバイアスがあります。

そうした中で、外見で判断してしまうなどの悩みを持っている人は、知識としてバイアスについて知っておくのが大事です。

バイアスは人間心理にも深く関係しているので、「バイアスを知る」というのは「自分の心理を知る」ということでもあります。

人を外見で判断してしまう人は、自分の判断がバイアスで歪められていると思っている人はまずいません。

そのため、自分の判断は間違っていないと思っている人ほど、バイアスによって判断が歪んでいる可能性が高い。

さらに「自分は外見で判断なんかしていない」という思いが強い人ほど、自己正当化にも陥りがちなので注意が必要です。

自己正当化に関しては、以下の記事で解説しているので興味がある人は読んでみてください。

人の外見に限らず、目立つものや具体的なもの、目を惹かれるものが増えている現代においては、脳のバイアスを知るのは有益だと言えます。

「知る」ことは武器にも防具にもなるのです。

人の外見はもちろん大切ですが、内面の人間性にもきちんと目を向けるためにも、バイアスにかかっているかもしれないことを常に頭に入れておきましょう。

 

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まとめ:代表性ヒューリスティックは知ることで対処できる

今回の記事では、代表性ヒューリスティックの例を紹介し、後半では人を外見で判断しない方法について解説してきました。

まとめは以下のとおりです。

今回の記事でわかったこと
  • 代表性ヒューリスティックとは、目立つものを過大評価する意思決定のこと。
  • ステレオタイプとは、頭の中にある先入観や思い込みのこと。
  • ハロー効果とは、目立つ特徴がほかの特徴にまで影響を与えること。
  • 人を外見で判断してしまうのは、脳のバイアスによるもの。
  • 自分がバイアスにかかっていると考えれば、ある程度バイアスは防げる。

人は脳のバイアスに騙されると、外見や見た目といった目立つ特徴で相手を判断してしまいます。

目立つものを過大に評価することで認識が歪められ、判断を間違えてしまうのです。

バイアスは人間の脳の仕様なので、一切騙されずに生きるのは不可能ですが、それは「人を外見でしか判断できない」というわけではありません。

自分の判断にはバイアスがかかっていると考えれば、外見や見た目だけで人を判断することもなくなるでしょう。

大事なのは脳にバイアスがあるのを「知る」ことであり、バイアスは知ることである程度防ぐことができます。

また、バイアスについてもっと深く知りたい人は、以下の本を読んでみましょう。

■参考書籍

ほかにも、おすすめ本は以下の記事で紹介しています。

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