最終更新日 2025年6月19日
人間にはたくさんの欲求が存在します。
食欲・性欲・睡眠欲といった三大欲求をはじめ、物欲や金銭欲、承認欲求から自己実現欲求まで、誰しも何かしらの欲求に従いながら生きているものです。

これを現代では、「マズローの欲求5段階説」と呼びます。
この記事では、マズローの欲求5段階説を具体例で詳しく解説していきます。
人間の欲求に興味がある人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
マズローの欲求5段階説を具体例で解説
アメリカの心理学者であるマズローは、「欲求5段階説」というものを提唱しました。
具体的には、以下の図のような、欲求が5段階の階層式になっているという説です。

マズローの欲求5段階説では、人間の欲求は下位から順番に満たされることで、どんどん次の欲求が湧いてくるという考えが元になっています。
図のように、一番下の生理的欲求が人間においてもっとも強い欲求であり、まず生理的欲求が満たされなければ、ほかの欲求は湧いてきません。

マズローは人間の欲求が段階を経て湧いてくることを発見し、今では心理学的に「欲求5段階説」として幅広く知られています。
以下では、マズローの欲求5段階説を具体例で詳しく見ていきましょう。
1. 生理的欲求:生きるための基本
生理的欲求は、ピラミッドの最下層に位置し、生命維持に不可欠な欲求です。
生理的欲求の例は、以下のようなもの。
- 食事や水:空腹や喉の渇きを満たす。
- 睡眠:十分な休息をとる。
- 呼吸:酸素を取り入れる。
- 体温調節:適切な衣服や住環境。
これらの欲求が満たされないと、人間は生きていくことができません。
たとえば、十分な食事が得られない場合、仕事や人間関係に集中するのは難しいです。
現代では、日本を含め先進国の多くの人がこの欲求をある程度満たしていますが、世界的にはまだこの段階で苦しむ人々もいます。
2. 安全の欲求:安定と安心を求める
生理的欲求が満たされると、次に人は安全や安定を求めます。
安全の欲求の例は、以下のようなもの。
- 経済的な安定:安定した収入や貯金。
- 安全な環境:災害や犯罪から守られた住まい。
- 健康的な体:病気や怪我からの保護。
- 安定した仕事:失業の不安がない仕事。
仕事が不安定でいつクビになるかわからない状況では、精神的な余裕がなくなり、次の段階の欲求を追求するのは難しくなります。
現代では、安定した仕事や住居を持つことが、この欲求を満たす鍵です。
3. 社会的欲求:愛とつながりを求める
安全が確保されると、人は他人とのつながりを求めるようになります。
社会的欲求の例は、以下のようなもの。
- 友情:信頼できる友人。
- 家族:家族との絆や愛情。
- 恋愛:恋人との関係。
- コミュニティ:社会やグループへの所属感。
一番身近な例では、職場での人間関係や、家族や友達との時間を大切にすることで、この欲求が満たされます。
孤独感を感じている場合は、社会的欲求が満たされていないサインかもしれません。
また、上記以外にもSNSで社会的欲求を満たすのも、現代では一般的になりつつあります。
4. 承認の欲求:尊敬と自己肯定感
社会的欲求が満たされると、人は他人からの承認や自己肯定感を求めるようになります。
ですが、承認欲求には2種類あり、どちらを満たすかは人によって異なるのが特徴です。
- 他人からの承認:他人からの尊敬や評価。
- 自己承認:自分に対する自信や自尊心。
たとえば、仕事で成果を上げて上司に認められたい、SNSで「いいね」をもらいたいといった気持ちは、他人からの承認欲求です。
一方、自分がやっていることに満足したり、納得している場合は、自己承認を得ている状態と言えます。
現代では承認欲求は嫌われがちですが、承認欲求が満たされないと、劣等感や自己否定感を感じるので、承認欲求は人間にとって重要な欲求の一つです。
5. 自己実現の欲求:自分の可能性を追求する
マズローの欲求5段階説の頂点に位置するのが、自己実現の欲求です。
これは自分の能力や可能性を最大限に発揮し、理想の自分になることを目指す段階。
具体的には、以下のような目標。
- 創造性の発揮:アートなどでの自己表現。
- 目標達成:個人的な夢の実現。
- 自己成長:新しいスキルの習得や精神的な成長。
- 社会貢献:他者のために貢献すること。
自己実現の欲求は、下位の欲求が満たされてはじめて強く意識されます。
経済的に安定し、愛する家族や友人に囲まれ、自信を持っている人が、自分の夢を追いかけたり、社会に貢献する活動に取り組んだりするのです。
マズローは、「自己実現の段階に到達する人は少ない」と述べていますが、現代では多くの人が自己実現を目指しています。
自分はマズローの欲求5段階説のどこにいるか?
マズローの欲求5段階説は、単なる知識として覚えているだけでは意味がありません。
「自分はどこの欲求の階層にいるのか?」を考えることで、今の自分に足りないものを見つけることができます。
ここからは、マズローの欲求5段階説を活かす方法を見ていきましょう。
自分の欲求の状態を把握する
まず、自分が今どの欲求の段階にいるのかを考えてみましょう。
具体的には、以下の質問を自分に投げかけてみてください。
✅生理的欲求:十分な睡眠や食事はとれているか?
✅安全の欲求:経済的・精神的な安定はあるか?
✅社会的欲求:家族や友達、恋人とのつながりは十分か?
✅承認の欲求:自分に自信を持てているか?他人から認められているか?
✅自己実現の欲求:自分の夢や目標に向かって進んでいるか?
上記の質問に答えることで、自分に足りていない欲求がわかり、どうすればいいかがわかります。
たとえば、睡眠不足ならまず睡眠を優先したり、孤独感を感じるなら友達との時間を増やすなど。

どれぐらい満たせば満足するかを明確化する
マズローの欲求5段階説は、人間の欲求を階層に分けて考えるのが特徴ですが、欲求の満たし方は人それぞれ異なります。
たとえば、生理的欲求では、少し食べれば満足する人がいたり、6時間寝れば満足する人がいる一方で、たくさん食べて、8時間以上寝ないと満足できない人もいるでしょう。
そのため、自分に足りていない欲求を考えるときは、「自分はどれぐらいで満足できるのか」も考える必要があります。
✅生理的欲求:食事の量、睡眠はどれぐらい必要か?
✅安全の欲求:自分に必要なお金、衣食住はどのぐらいか?
✅社会的欲求:友達は何人?恋人は必要か?
✅承認の欲求:どうすれば自分を認められるのか?
✅自己実現の欲求:何をすれば自分は満たされるのか?
上記は、すべて自分の価値観とセットで考えなければなりません。
自分にとって必要な欲求を満たすことができれば、心も満たされて、豊かな人生が送れます。
一方、他人や世間体をベースにして欲求を満たすことに捉われると、いつまで経っても満たされません。

自分に必要な欲求を満たしていく
自分に必要な欲求の量がわかったら、実際に欲求を満たしていきます。
食事や睡眠が足りていないなら、生活習慣を整え、満たされるようにする。
生活するお金が足りていないなら、転職したり副業をはじめる。
友達や恋人がいないなら、コミュニティに入ったり、マッチングアプリをはじめる。
足りない欲求を自覚することで、欲求を満たす努力をすることができます。
言うまでもなく、何も行動しなければ何も変わりませんが、欠乏を感じている欲求を満たすことで、今よりも豊かな人生になります。

欲求は求めれば際限がありませんが、自分に必要な量を理解した上で満たせば、心が豊かになります。
自分がマズローの欲求5段階説のどこにいるのかを考え、足りていない欲求を満たしていきましょう。
欲求をコントロールするコツ
これまで述べたように、欲求は人間にとって不可欠なものです。
しかし、強すぎる欲求は身を滅ぼすこともあるので、欲求はうまくコントロールしなければなりません。
欲求をコントロールするコツは、以下の3つ。
- 必ず睡眠だけはしっかりとる。
- ルーティンを乱さない。
- 前頭葉を鍛える。
睡眠だけはしっかりとる
欲求をコントロールするためには、どんなときでも睡眠だけはしっかりとることが大事です
というのも、睡眠不足の状態になると食欲や性欲といった欲求が強くなり、欲求に抗うのが一段と難しくなります。
たとえば、甘いものを食べ過ぎたり、暴飲暴食をしたりなど、食欲が強くなるのは睡眠不足の状態であることが多いです。
今まではコントロールできていたものが、睡眠不足によってコントロール不能の状態になる。
欲求をコントロールするためには、最低でも6時間の睡眠は確保し、寝不足の状態が続かないようにしましょう。
とくに慢性的な睡眠不足は、「欲求に負ける状態」が普通になっているため、欲求をコントロールするのはかなり難しいです。
欲求に負けてしまいがちな人は、まずは睡眠をしっかりとることからはじめてみましょう。
ルーティンを乱さない
ルーティンとは毎日の習慣のことで、「朝起きて毎日していること」などが当てはまります。
- モーニングルーティン(起床後の流れ)。
- ナイトルーティン(寝る前の流れ)。
- お風呂前の筋トレやランニング。
- お風呂後の音楽タイムなど。
こうしたルーティンは、規則正しい生活を送るために大事なものです。
そして、規則正しい生活は欲求をコントロールするために欠かせません。
ルーティンが乱れてしまうと、「今日だけは特別」といった考えが頭に浮かんできます。

ダイエットしていた人が食欲に負けて暴食すると、次の日もそのまた次の日も暴食してしまうのはめずしいことではありません。
人によってはルーティンなんてないという人もいると思いますが、欲求を暴走させないためにも、毎日のルーティンを持ってみましょう。
「毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる」というルーティンを持てば、睡眠不足もなくなるのでおすすめです。
前頭葉を鍛える
最後は、前頭葉を鍛えるという方法。
前頭葉とは、おでこ辺りにある大脳の前部分のことで、前頭葉は運動や言語、感情を司る部分です。
この部分を鍛えることで、感情のコントロールに長け、感情的な行動を減らすことができます。
欲求に負ける瞬間というのは、「感情的な行動」が「欲求に負けた行動」です。
「〇〇がしたい」という感情が湧く⇒睡眠不足などで感情を制御できない⇒感情的な行動をとる⇒暴飲暴食などの欲求の暴走
こうした感情をコントロールするために必要なのが、前頭葉の働きです。
前頭葉を鍛えることで、感情をコントロールできるようになるだけでなく、記憶力や思考力の向上も期待できます。
前頭葉の鍛え方は、主に以下の3つ。
- HIITなどの心拍数が上がる運動。
- 毎日20分前後の瞑想。
- 利き手と反対の手を使う。
この中でも、瞑想は前頭葉を鍛えるのにとくに効果的です。

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まとめ:マズローの欲求5段階説で人生を豊かに
マズローの欲求5段階説は、単なる心理学の理論ではなく、私たちの人生をより良くするために役立ちます。
- 人間の欲求は、生理的欲求から自己実現の欲求まで5段階に分かれる。
- 下位の欲求を満たすことで、上位の欲求が湧いてくる。
- 自分の欲求の状態を把握し、欲求を満たすための行動をとることが大事。
- 自己実現を目指すには、生活や人間関係を整え、自信を育むことから始める。
マズローの欲求5段階説をうまく活用すれば、自分に足りていない欲求を必要なだけ満たし、人生をより充実したものにできます。
まずは自分に欠けている欲求を見極め、足りていない欲求を満たす行動をしてみましょう。
あなたは今、どの欲求の段階にいますか?そして、どんな自己実現を目指したいですか?