最終更新日 2024年12月24日
砂糖や白米は体に悪いと言われることがありますが、実際に「どういう風に悪いのか?」まで知っている人は多くありません。
ほとんどの人は、「甘いものを食べると太る」という意味での「体に悪い」という認識なのがほとんど。
ですが、砂糖が入っている食べ物を食べても、健康や体には大して影響もないと思っている人もたくさんいます。
もちろん、砂糖を摂取しているからといって全員が肥満になったり不健康になるわけではありません。
しかし、「砂糖が体に悪い」という事実を知らずに、甘いものをたくさん食べ続けるのはリスクが高い生き方です。
今回の記事では、砂糖が体に悪い理由を解説していきます。
将来糖尿病などの病気になりたくない人、今より痩せたいと思っている人、慢性的に気分が優れないと感じている人などは、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
砂糖は体に悪いのは本当か?
まず結論から言うと、「砂糖が体に悪いかどうか?」の答えは紛れもなく「イエス」です。
砂糖の過剰摂取はさまざまな病気の原因になり、体や健康にたくさんの悪影響を与えます。
砂糖などの甘いものは脳や体のエネルギーとなるため、食べないと頭が働かないと思っている人も多いでしょう。
しかし、実際には、砂糖を一切取らなくても脳や体のエネルギーは足りています。
甘いものを食べなくても頭は働く
「砂糖や甘いものは体に必要だ」と言う人は、「糖分は脳のエネルギー源であるため、糖分がたくさん入っている砂糖は人間にとって必要なものだ」と言います。
たしかにその言い分は正しいですが、脳が糖分しかエネルギー源にできないから、砂糖などの甘い食べ物から摂取しなければならないというのは間違いです。
人間の体には「糖新生」という機能があるため、糖分や糖質を摂取しなくても肝臓からブドウ糖をつくることができるのです。
つまり、脳はブドウ糖がエネルギー源ですが、ブドウ糖は甘いものや糖質などの糖分を口にしなくても、肝臓が脂肪を分解することでブドウ糖を生成できます。
もちろん、多少の砂糖であれば、効率よくエネルギーに転換できるので体にはそこまで悪影響はありません。
砂糖が体にとって悪影響になるのは、必要以上に砂糖が入った甘いものを食べている場合です。
現代の食べ物のほとんどに砂糖が含まれており、習慣的にジュースやお菓子を食べているだけで、すでに必要以上に砂糖を摂取している状態になってしまいます。
現代人が普通の食生活を送っていれば砂糖や糖分不足になることはなく、「頭を使ったから甘いものを食べる」だけで過剰摂取になるのです。
砂糖だけでなく異性化糖も体に悪い
体に悪い食べ物を考えるとき、砂糖のような甘いものだけが槍玉に挙げられることが多いです。
砂糖が体に悪いのは言うまでありませんが、実際には砂糖だけでなく「異性化糖」という成分も体に悪影響を与えます。
主に高フルクトースのコーンシロップや、遺伝子組み換えのトウモロコシを原料につくられている、人工的なブドウ糖・果糖のことを指します。
- お菓子全般
- 清涼飲料水
- スポーツドリンク
- ドレッシング
- 味付けのタレなど
果糖と聞くと果物などに入っている糖分を想像し、一見、体に良さそうと思う人もいるでしょう。
ですが、異性化糖(異性化液糖と書かれていることもある)の果糖は、高フルクトースのコーンシロップなどが原料です。
そのため、果糖といっても果物に自然に含まれている果糖とはまったくの別物であり、たくさん摂取していると健康的なリスクが高くなります。
異性化糖が持つ「糖化」のリスクはブドウ糖の10倍以上とも言われており、糖化は重大な病気の原因になる現象です。
この「糖化」に関しては、後で詳しく解説していきます。
人工甘味料は砂糖の数百倍の甘みを持つ
砂糖や異性化糖といったものが人を太らせ、不健康にしているのは事実です。
ですが、さらにもう一つ、現代人が口にする食べ物や成分の中には危険なものがあります。
それが「人工甘味料」です。
日本とアメリカで認可されている人工甘味料には、以下のようなものがあります。
- サッカリン
- スクラロース
- アスパルテーム
- アセスルファムカリウム
- ネオテーム
とくにスクラロースは砂糖の600倍以上の甘みを持つ成分であり、体内に取り込まれることでそれだけ生体の機能も狂っていきます。
アスパルテームとアセスルファムKも同様、砂糖の200倍の甘さがある成分です。
人工甘味料の何がそんなにダメなのかというと、人工甘味料は甘みを感じさせるだけでカロリーがほとんど含まれていません。
カロリーがないということは、どれだけ摂取しても満足することがなく、食欲が止まらなくなるのです。
それに加え、人工甘味料の甘さは脳に心地良い快楽をもたらし、報酬系のドーパミンをたくさん分泌させます。
ドーパミンの過剰分泌も体に多くの害を与え、甘いものが大好きな人や肥満になっている人はドーパミン中毒になっている人が少なくありません。
人工甘味料が怖いのは「止まらない食欲」「脳内ホルモンの過剰分泌」、そして「生体機能の崩壊」です。
砂糖が体に悪い理由
実際には、砂糖だけでなく、異性化糖や人工甘味料といった成分も体に悪影響を与え、多くの病気の原因になります。
しかし、漠然と「砂糖は体に悪い」と言われても、「どう悪いのか?」がわからないためイメージしにくい人も多いでしょう。
砂糖が体に悪い理由は、主に以下の4つ。
- 糖尿病の原因になる
- 反応性低血糖(インスリンスパイク)を引き起こす
- 糖化現象(AEG生成)を引き起こす
- 肥満になる
糖尿病の原因になる
砂糖などの甘いものは、言うまでもなく糖尿病の主な原因です。
糖尿病は血糖値を下げるための「インスリン」がうまく分泌されていない状態、またはインスリンの効果が薄れて血糖値がうまく下がらない状態のことを指します。
人間の体は血糖値が上がると膵臓からインスリンが分泌され、血糖値を下げてくれる。
インスリンが分泌されなければ、血の中にある糖分がうまく吸収されず血中をいつまでも漂うことになる。
この状態が高血糖状態であり、慢性的な高血糖状態が糖尿病の正体。
インスリンは誰でも食事をすると、意識せずとも自然に分泌されます。
ごくまれに生まれつきインスリンの分泌がうまくいっていない「1型糖尿病」の人もいますが、現代人の糖尿病患者のほとんどは「2型糖尿病」です。
そして2型糖尿病は、砂糖や甘いものを食べすぎてインスリンの分泌が狂うことでなります。
砂糖や異性化糖は血糖値を急上昇させます。
ほかにも、白米には砂糖は入ってなくても糖分が多く含まれており、GI値(グリセミック指数)は約88と非常に高く、これが「白米が体に悪い」と言われる理由です。
GI値とは、簡単にいえば「どれだけ血糖値を上昇させるか?」という指数であり、数字が大きければ大きいほど血糖値の上昇も激しいことを示しています。
ちなみに砂糖のGI値はおよそ110であり、異性化糖もほぼ同じぐらいです。
▼主な食品のGI値
砂糖 | 110 |
チョコレート | 90 |
食パン | 95 |
白米 | 88 |
うどん | 85 |
じゃかいも | 90 |
ドーナツ | 85 |
ショートケーキ | 82 |
クッキー | 77 |
フライドポテト | 85 |
砂糖は現代に存在している食品の中でも、もっとも血糖値を急上昇させる食品です。
砂糖は血糖値を異常に急上昇させ、インスリンを膵臓から過剰分泌させます。
そして、インスリンの過剰分泌が引き起こす体への影響が、次に述べる「反応性低血糖」というインスリンスパイクです。
反応性低血糖(インスリンスパイク)を引き起こす
砂糖が体に悪い理由の一番は、糖尿病で間違いありません。
ですが、糖尿病はあくまでも結果であり、糖尿病になるまでにも砂糖が体に悪い理由はたくさんあります。
反応性低血糖とは、GI値が高い食べ物で血糖値が急上昇し、膵臓からインスリンが分泌され、血糖値が急激に低下している状態のことを指します。
GI値の高いものを食べる⇒血糖値が急上昇⇒インスリンの過剰分泌⇒血糖値が急激に低下
「反応性」という言葉はインスリンへの体の反応のことを指し、インスリンの過剰分泌に体が反応することで低血糖状態になります。
低血糖状態は、体のエネルギー源である糖が血中に少なすぎる状態のため、人間が活動するのには適していない状態です。
たまに、ダイエットなどで厳しい糖質制限をしている人が低血糖で倒れることがあるのは、体に活動するだけの糖がないことが原因となっています。
反応性低血糖の前には必ず血糖値の急上昇があり、砂糖などを摂取することで血糖値が急上昇し、その後にインスリンが過剰に分泌されて血糖値の急降下が起こる。
この血糖値の大幅な変動こそ「インスリンスパイク」と呼ばれる所以です。
血糖値が急上昇してから急降下するという反応は、体の生体機能に負担をかけ、体だけでなく精神的にも良くない作用をもたします。
砂糖の過剰摂取は、体の内面や精神的な部分にまで害を与えるのです。
糖化現象(AGE生成)を引き起こす
糖尿病や反応性低血糖、インスリンスパイクという言葉を知っている人は多いですが、「糖化」といった現象について詳しく知っている人はあまりありません。
糖化とは、簡単にいうと「タンパク質と脂質と糖が結合すること」であり、血中にある糖分が細胞壁にこべりつき、細胞を破壊する現象のことです。
糖化の状態が引き起こす悪影響には、以下のようなことが挙げられます。
さらに、糖化が進むと体内にAGE(糖化最終生成物)生成され、それが動脈硬化などを引き起こします。
「砂糖が細胞が破壊する」と言うと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、体の細胞はとても壊れやすいのです。
そして、呼吸器系の粘膜が緩むと風邪などを引きやすくなり、鼻炎になったりもします。
砂糖があらゆる病気の原因と言われているのは、まったくもって誇張ではありません。
肥満になる
いまさら言うことではないと思いますが、砂糖は肥満の原因です。
甘いお菓子やスイーツを毎日食べていれば、お腹に脂肪が蓄積されてあっという間にぶよぶよのお腹になってしまいます。
甘いものには中毒性と依存性があり、食べたときに分泌されるドーパミンが体全体に快楽を感じさせる。
多くの人は甘いものを食べたときの幸福感の虜となり、度々甘いものを食べ過ぎてしまう。
肥満の原因としては糖分が槍玉に挙げられ、糖分が多いものを食べているからこそ太るのだと思っている人がたくさんいます。
ですが、「糖分=太る」というのは間違いであり、大事なのは「糖分の代謝過程」です。
近年ダイエット業界では食物繊維が注目されており、食物繊維には糖の吸収を緩やかにする効果が確認されています。
食物繊維を含んだ炭水化物を食べれば、血糖値はゆるやかに上昇する。
食物繊維を含まない糖質は、血糖値の急上昇を招くため肥満の原因になる。
血糖値の急上昇はインスリンの過剰分泌にもつながり、インスリンの分泌量と肥満にも大きなつながりがあります。
つまり、インスリンの過剰分泌を回避することが、肥満や太らないために大切なのです。
肥満になりたくないのであれば、できるだけ食物繊維が含まれた糖分を取るようにしましょう。
血糖値の急上昇さえ押さえれば、肥満はかなりの確率で回避できます。
【まとめ】砂糖が体に悪いことを知った上で、食生活を考えよう
今回の記事のまとめは、以下のとおり。
- 砂糖はあらゆる病気の原因になる。
- 砂糖を取らなくてもエネルギーは足りている。
- 異性化糖も砂糖と同じぐらい体に悪い。
- 人工甘味料は食欲を暴走させる。
- 砂糖はインスリンスパイクを起こし、糖尿病の原因になる。
- 砂糖の取りすぎは糖化となり、心血管イベントのリスクを高める。
- 甘いものを食べすぎると肥満になる。
最近では砂糖が体に悪いのは常識となってきましたが、多くの人は「砂糖は太る」ぐらいの認識しか持っていません。
ですが、砂糖が体に悪いのは太るだけでなく、あらゆる病気の原因になるからです。
さらに、砂糖だけでなく異性化糖や人工甘味料といった成分も体に大きな害になります。
もちろん、砂糖が体に悪いことを知った上で、そうした食生活を送るのは個人の自由なので問題ありません。
ですが、将来病院のベッドで寝込んだり、週に二回の糖尿病の注射を死ぬまで打ち続けたくないと思うのであれば、少しでも砂糖の摂取量を減らしてみるのがおすすめです。