最終更新日 2024年12月18日
「人間は社会的な動物であり、他人との交流や接触を求める生き物である」
これはよく心理学や生物学の本などに書かれている言葉であり、「人は決して1人では生きていけず、生きていくためには他人とのつながりが不可欠である」という言葉もよく聞きます。
たしかに細かいところまで突き詰めれば、漁師や肉屋がいなければ食事をすることはできないし、電気やガス、水道なども「使わせてもらっている立場」なので、1人で生きているわけではありません。
ですが、この記事で問いたいのはそういうことではなく、「人間関係の充実は本当に必要なのか?」ということです。
ですが、昔から1人でいるのが好きだったのかと言われるとそうではなく、私が1人でいるのが好きになったのは社会人になってからです。
今回の記事では、1人でいるのが好きになった理由と、私が感じている1人でいることの精神的なメリットを紹介していきます。
同じく1人でいるのが好きという人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
1人でいるのが好きになった理由
世間一般的には、はじめに言ったように「人生の充実には人間関係の充実が不可欠」と思われています。
つまり、一般的には私の生活スタイルはあまり良くないものらしく、仕事でもプライベートでも他人と接触することなく、ずっと1人で生活しているのは寂しくて根暗でコミュ障みたいに見えるらしいです。
私が1人でいるのが好きになったのは、昔と価値観が大きく変わったことが原因で、今では1人でいる時間が自分の価値観に従った生き方となっています。
読書で変わった価値観
私は昔からずっと1人でいたわけではありません。
小中高と学生の頃は周りと同じように、友達と一緒に遊んだりふざけたりすることが生きがいでした。
毎日友達とくだらない話をして笑ったり、ふざけたことをしたり色々なところへ遊びに行くのが最高に楽しかったです。
大人になるとそれまで当たり前だと思っていたことが当たり前ではなくなり、楽しいと感じていたことは楽しく感じなくなり、優先するべきものや守るべきもの、大切にするべきものも変わっていく。
その中でも、私の場合は読書をはじめて価値観がガラリと変わったことが、1人でいるのが好きになったもっとも大きな理由です。
今でこそ毎日本を読むことが習慣となっていますが、昔は読書なんてしたことがありませんでした。
ですが、社会人になってから悩みや迷いにぶち当たることが多くなり、今までの価値観や考えではどうにも生きづらいことに気づいたのがターニングポイントです。
そんなときに、なんとなく手にしたのが本でした。
価値観が変わると1人が好きになる
本を読んでいると、次第に悩みや迷いとの向き合い方というのがわかってきます。
以前は知識が圧倒的に不足していたがために考えられなかったことが、本を読んで知識が増えた後ではまるで世界が変わったように見えるようになる。
読書に没頭してから数年経ったときには、以前持っていた価値観のすべてが180℃変わっていました。
俗に言う、コペルニクス的転回です。
一日中遊び回ることの充実感が空虚感に変わり、友達と一緒にいる時間は疎外感を感じさせ、娯楽やストレス発散の対象となるものは虚無感の対象となっていきました。
そうして、気づいたときには誰かといる時間よりも、1人でいるのが好きになっていました。
昔は誰かと一緒に過ごすことでしか感じられなかった楽しさや充実は、ほとんど1人で感じられるようになり、やりたいことの多くは1人でいる時間でしかできなくなりました。
ですが、人間には「慣れ」と「適応」という便利な機能があり、時間が経つにつれて1人でいるのが好きな人間に変わっていきました。
1人でも人生は楽しく生きられる
普通の人にとっての楽しい時間や息抜きの時間というのは、友達や恋人と一緒に時間を過ごすことだと思います。
でも今の自分にとっては、1人でいる時間こそが楽しい時間であり、息抜きの時間であり、ストレス発散の時間であり、癒しの時間です。
「楽しもうとしていないから楽しくない」ともよく言われますが、そもそも楽しいと感じていないことを、無理やり楽しもうとする必要はどこにもありません。
投資の神様であるウォーレン・バフェットが言うように、「うまくやる価値のないことは、うまくやる価値はない」のです。
世間の一般的な通念が「人間関係が人生を豊かにする」であったとしても、人間関係だけが人生を豊かにするわけではありません。
1人でいるのが好きでも、周りからすれば孤独に見えたとしても、1人でも人生を楽しむことはできるのです。
1人でいる時間の大切さ
現代では、1人で過ごすことが苦手な人がとても多いです。
今の世の中はスマホさえあれば誰とでもすぐにつながることができ、SNSを通じれば普段自分が関わるはずがない人たちとも簡単に関わりを持つことができます。
誰かと連絡を取りたいと思えば、スマホの上で親指をスラスラ動かすだけで、仮想空間上で簡単に誰とでも会話ができる世界に生きているのが現代です。
フランスの哲学者であるパスカルは「人間の問題はすべて、部屋で1人静かに座っていられないことに由来する」と言っています。
これは人が孤独を恐れるあまり、娯楽や社交といった行動へと駆り立てられるという意味です。
多くの人は孤独が嫌いですが、孤独という1人でいる時間の中にこそ精神的な豊かさも存在します。
週末に1人で過ごしていると、「寂しい」「孤独」「つまらない」と感じる人が多いですが、これは現代人の孤独耐性が著しく低下していることの表れです。
そして、「いつでも簡単に誰かとつながれる」というのは「いつでも誰かとつながっていなければならない」という強迫観念にもつながります。
現代のように人間関係がフリー化し、いつでも誰かとつながれる時代だからこそ、1人でいる時間が大切なのです。
1人でいることの精神的なメリット
1人でいるのが好きな人は、周りから見ると寂しそうに見えるかもしれませんが、実際にはそうではありません。
逆に誰かといるときよりも気分はすっきりし、精神的にも安定し、多くの出来事から楽しみを感じています。
ここからは、私が感じている1人でいることの精神的なメリットを紹介していきます。
- 心が自由でストレスがほぼない
- 不必要な人間関係がなくなる
- 人間関係が「量」から「質」に変わる
心が自由でストレスがほぼない
人間関係は人生の充実に必要なものと言われていますが、実際には人間関係にストレスを感じている人もたくさんいます。
ですが、1人でいることには、人間関係のストレスは一切ありません。
お腹が減ったときに好きなものを食べ、眠たくなったら寝て、行きたいところに行き、やりたいことを飽きるまでする。
一方、誰かと一緒にいると、お腹が減っていないときに友達が食べたいものに付き合ったり、眠くても我慢して遊んだり、あまり行きたくないところにも付き合ったり、自分のやりたいことができなかったりします。
意見が合わないことで言い争ったり、嫌なことをされたり言われたり、人間関係にはそれなりのトラブルがつきものです。
もちろん、人間関係から得られるメリットがあるのも事実ですが、誰かと一緒にいるということは、少なくとも相手と歩調を合わさなければなりません。
歩調を合わせずにお互い好き勝手に行動するのであれば、一緒に居る必要がないのだから、相手に気を遣わず1人でいることのほうがメリットは大きいはずです。
人間関係では自分でも気づかないうちにストレスを感じている人もいます。
人間関係で感じるストレスや違和感と、1人でいるときの自由と気楽さを天秤にかけ、どちらのほうが自分らしくいられるかを考える。
その答えが1人でいるほうであれば、思い切って1人でいる時間を持ったほうがストレスもなく、心が軽くなります。
人間関係に疲弊している人は、ぜひ1人でいる時間を持ってみてください。
不必要な人間関係がなくなる
現代は簡単に他人とつながれる時代になりましたが、それに伴って不必要な人間関係も格段に増えています。
もし仮に人間関係が必要であったとしても、それはとにかく友達を増やしたり人脈を広げることに意味はありません。
そうした人間関係に価値はなく、大事にする必要もありません。
実際、人間関係にストレスを感じている人の多くは、不必要な人間関係によってストレスを感じている人も多いです。
たとえば、行きたくもない会社の飲み会、暇つぶしのために友達同士で集まるといった類の関係性は、なくても困らない人間関係です。
もちろん、1人が好きだからと言って、家族や恋人、気の合う友人などとの交流を無理にやめる必要はありません。
1人でいることが好きであっても、自分にとって大事な人間関係はしっかり持っている人もいます。
大事なのは「自分にとって不必要な人間関係」を見極め、意味のない付き合いの時間は1人でいる時間に置き換えること。
何度も言いますが、1人でいることの最大のメリットは、ストレスがなくなることです。
不必要な人間関係でストレスを感じるのではなく、1人でいる時間を確保し、自分のために時間を使う。
人間関係が整理されれば気持ちもすっきりし、自分の生きたい人生を生きられます。
人間関係が「量」から「質」に変わる
人間関係がフリー化した現代では、より多くの人と関係を持つことを可能にしましたが、その一方で、人との絆のつながりは100円寿司のヒラメぐらい薄いものになってしまいました。
人は1人では生きていけないのは真理ですが、人間関係をたくさん持つことがいいわけではありません。
むやみやたらに人とのつながりを求め、何でも「より多く」を望むのは現代人の悪い癖でもあります。
よく言われるように、人間関係で大事なのは「量」ではなく「質」なのです。
1人でいることが好きになると、人間関係は自然と量ではなく質に変わっていきます。
自分にとって本当に大事な人にしか時間を使わなくなり、不必要な人間関係はすべて1人でいる時間に変わっていく。
これがストレスのない人間関係を作り、それと同時に自分らしさと人生の楽しさを両立させている状態です。
孤独耐性が低いままだと精神的に自立することができません。
常に誰かとつながることを強いられる社会では、あえて1人でいる時間を持つことはストレスを解消するとともに、人間的な成長にも欠かせないことです。
まとめ
今でもふとした時に、昔のような価値観を持って生きていると、どんな人生になっていたか考えることがあります。
今でも十分充実した日々を送っていますが、1人でいる時間よりも誰かと一緒に居る時間を持っていたら、今よりも楽しい人生になっていたかもしれないし、なっていないかもしれません。
ですが、何かをきっかけに今度は人恋しくなったり、以前ような人付き合いを求める可能性もあります。
価値観は日々変化するものであり、ずっと同じ価値観のまま生きるのも良くありません。
現状維持は後退、変化なくして成長なしが人生の真理。
でも、今はまだ1人でいることが好きです。
人付き合いの楽しさがあるのもわかっていますが、今の自分は1人でいることの楽しさのほうが勝っています。
1人でいる時間の中にある静けさと自由を味わうのが、今の自分にとってもっとも心が安らぐ時間です。