【利用可能性ヒューリスティックの例】人は頭に思い浮かぶ利用しやすいものを好む。

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最終更新日 2024年2月5日

こんにちは、竜崎(@ddd__web)です。

人は他人の印象を第一印象で判断することが多いです。そして、第一印象の多くは外見によって決まり、強いて言えば「外見で人を判断」しています。

よく「人は外見か中身か」みたいな論争が起こっていますが、心理学的な見地から述べると、人は99%外見がすべてです。

これは避けようのない事実であり、外見に捉われて人を判断してしまうのは仕方のないこと。

ですが、その裏に潜む心理について知っておくのは、日常生活の中でもとても役立ちます。

今回の記事で紹介するのは、「利用可能性ヒューリスティック」というバイアスについてです。

人間の頭の中にはたくさんのバイアスやヒューリスティックがありますが、その中でも利用可能性ヒューリスティックは日常的に多くの人が陥っています。

この記事では利用可能性ヒューリスティックの例を紹介し、後半では利用可能性ヒューリスティックの対策まで紹介していきます。

 

利用可能性ヒューリスティックの例

利用可能性ヒューリスティックの例について見ていく前に、まずは利用可能性ヒューリスティックの意味について説明しておきます。

利用可能性ヒューリスティックとは、頭の中にある利用しやすい情報を優先的に利用する性質のことです。

利用可能性ヒューリスティック

頭の中にある利用しやすい情報を優先的に利用する性質のこと。

ちなみに、ヒューリスティックとは「経験則」のことであり、意思決定をおこなう場面において、これまでの経験や先入観によって直感的に判断することを指します。

たとえば、消防士が火事の家に足を踏み入れたとき、何の根拠もないけれど直観的に足元の崩壊の危険性を感じる、といったものがヒューリスティックです。

人が行動を起こすときは、大体がこれまでの人生で培ってきたヒューリスティックによって行動を起こしています。

利用可能性ヒューリスティックは、そうした数あるヒューリスティックの中のひとつであり、文字どおり、「利用しやすい情報を優先的に利用するヒューリスティック」のことです。

では、以下で利用可能性ヒューリスティックの例を見てみましょう。

 

記憶として強く残るほうを利用する

利用可能性ヒューリスティックの例として、以下の問いを考えてみましょう。

日本にはコンビニと歯医者さん、どちらのほうが多くあると思いますか?

おそらく、大多数の人たちはコンビニのほうが多くあると思うはずです。でも実際は違くて、日本にはコンビ二よりも歯医者さんのほうが多く存在しています。

これは歯医者さんよりもコンビニのほうがより頻繁に利用しているため、頭の中でコンビニの記憶のほうが強く残っていることによる錯覚です。

コンビニは歯医者さんよりも頭に浮かびやすく、それが判断の誤りにつながります。

では、もうひとつ例を見てみましょう。

交通事故と飛行機での事故では、どちらのほうが怖いと感じますか?

これの回答も、おそらく多くの人は飛行機での事故のほうが怖いと感じるでしょう。

なぜか? 飛行機での事故はテレビやネットニュース、SNSで大々的に取り上げられるため、頭の中の記憶として強烈に焼き付くからです。

一方、交通事故も危険だとはわかっているものの、自分にはあまり関係がないことだと思っています。

逆説的ですが、交通事故のほうが頻繁に起こることを知っているため、交通事故の恐怖感が和らいでいるのです。

飛行機事故はそう頻繁には起こらない。だからこそ、事故が起こったときは記憶として強く残ります。

利用可能性ヒューリスティックは、そうした記憶を都合よく利用してしまう人間のバイアスなのです。

 

利用可能性ヒューリスティックとピークエンドの法則

利用可能性ヒューリスティックは「ピークエンドの法則」と呼ばれる心理学傾向とも関係があります。ピークエンドの法則について詳しく知りたい人は、以下の記事を読んでみてください。

簡単に説明すると、ピークエンドの法則とは、出来事の中でもっとも感情が高ぶった瞬間「ピーク」のときと、出来事の終わりの瞬間「エンド」の2つで全体の印象を決めてしまうという心理的傾向のことです。

利用可能性ヒューリスティックは、頭の中にある利用しやすい記憶を元にヒューリスティックを形成し、直観的に行動することを指します。

その「利用しやすい」という部分こそ、ピークエンドの法則で言う「ピーク」と「エンド」になっていることが多いのです。

頭の中により強く刻まれているのは、大体が印象的だったことや衝撃的だったこと、具体的でわかりやすくて目立ったものばかり。

それらは出来事の「ピーク」と「エンド」として記憶され、ヒューリスティックとして利用するときに真っ先に取り出されるのです。

利用可能性ヒューリスティックでうまくいくときもありますが、日常生活の場面では過去の経験則からでは判断がつかないこともあります。

そうしたとき、安易に利用可能性ヒューリスティックに従ってしまうのは危険です。

 

利用可能性ヒューリスティックと確証バイアス

さらに、利用可能性ヒューリスティックは「確証バイアス」とも深い関係があります。確証バイアスについても、以下の記事で詳しく解説しているので読んでみてください。

確証バイアスとは、自分に都合のいい情報ばかりを探してしまう傾向のことです。

これが利用可能性ヒューリスティックとどう関係があるのか?

利用可能性ヒューリスティックは利用しやすい情報を優先的に利用しますが、これは確証バイアスによってより強く働くことがあります。

つまり、確証バイアスによって自分の主張を裏づける情報を探すときに、利用可能性ヒューリスティックが顔を出すのです。

あなたが自分の主張を裏づけるために集める情報は、あなたが頭の中で利用しやしい情報に偏ってしまう。

実際、ほとんどの人は確証バイアスと利用可能性ヒューリスティックに振り回されています。

コロナの反ワクチン派の主張にしても、確証バイアスによって自分の主張を裏づける情報を頭の中で検索し、利用しやすい情報を都合よく利用している状態です。

頭の中にある情報は利用しやすい情報(ワクチンで死者が出た、副反応がひどい、ワクチンは不妊になる)であり、確証バイアスで都合よく利用されることになります。

言うまでもなく、こうした人たちは社会に大きな害を与えますので、バイアスに振り回されるのは危険だと言えるでしょう。

ヒューリスティックで自分だけが不利益を被るのはいいですが、バイアスとヒューリスティックの悪影響を他人や社会に与えてはなりません。

特に意思決定をする人は、バイアスに振り回された決断をするのは避けるべきです。

 

利用可能性ヒューリスティックの対策

人は無意識のうちに、頭の中に簡単に浮かぶものを利用して意思決定したり、行動したりしています。

自分ではそんなはずはないと思っていても、頭に浮かぶものをコントロールすることはできず、あなたは記憶を頼りになにかしらの意思決定をおこなっているのです。

こうしたヒューリスティックは、自分で消そうとして消せません。

頭の中をいじくり回して「バイアス」や「ヒューリスティック」を手術で分離できないのであれば、ヒューリスティックとうまく付き合いながら生きていくしかないのです。

では、どうすれば利用可能性ヒューリスティックの影響を少なくできるのか。

ここからは、利用可能性ヒューリスティックへの対策についていくか述べていきます。ポイントは以下の3つです。

  • 感情で意思決定をしない
  • 目立つものに捉われない
  • 自分にバイアスがかかっていることを知る

詳しく解説していきます。

 

感情で意思決定をしない

利用可能性ヒューリスティックに惑わされないためには、大事な場面では感情で意思決定しないようにすべきです

人間は感情的な生き物であり、なにかにつけてすぐ感情論でものを語りたがります。

しかし、感情は冷静な判断と比べると不合理な選択をしがちです。感情が高揚しているときは周りが見えなくなり、ほかの選択肢を考えられず、バイアスにも陥りやすい。

そして何よりも、感情自体がバイアスの影響を受けていることを忘れてはなりません。

感情的な反応の多くは、バイアスの影響を受けていることが多い。

感情がいつもより高ぶっているとき、あなたは脳のバイアスによって感情が後押しされている状態です。これでは冷静で合理的な判断はできないでしょう。

もちろん、ヒューリスティックなどの経験則がうまくときもあります。

消防士や軍隊、救急医療などに関わっている人なら、経験から直観的に判断を下さないといけないときもある。そうしたときに頼りになるのがヒューリスティックです。

ですが、多くの人たちは利用可能性ヒューリスティックによって、物事の全体像がわからなくなっています。

交通事故で死ぬことよりも海外でテロに合う可能性を恐れたり、ガンで死ぬ確率よりも飛行機が墜落する確率のほうが高いと感じたりする。

利用可能性ヒューリスティックに抗うには、感情での意思決定をやめ、大事な場面では冷静かつ客観的な目線で考えなければなりません。

 

目立つものに捉われない

利用可能性ヒューリスティックに惑わされるのは、心理学的に「代表性ヒューリスティック」といった現象とも関係があります。

代表性ヒューリスティックについて詳しく知りたい人は、以下の記事を読んでみてください。

代表性ヒューリスティックとは、簡単に言うと頭に思い浮かびやすいものを過大評価することを指します。

利用可能性ヒューリスティックとの違いは、頭に思い浮かぶ情報を利用するのが利用可能性ヒューリスティックであり、頭に思い浮かぶ情報を過大評価するのが代表性ヒューリスティックです。

これら2つのヒューリスティックは、どちらも結局は頭に浮かびやすいものを利用しているという点で共通しています。

  • 利用可能性ヒューリスティック⇒頭に思い浮かぶ情報を利用する
  • 代表性ヒューリスティック⇒頭に思い浮かぶ情報を過大評価する

そして、頭に思い浮かぶものは大体が目立つものであり、目立つものは脳の大好物です。

つまり、利用可能性ヒューリスティックに対抗するには、目立つものに捉われないようにする必要があります。

目立つものや印象的なものに引き付けられると、脳はそれを優先的に記憶し、利用可能性ヒューリスティックとして使い出すからです。

現代ではマスコミやSNSなどで大々的なニュースや出来事、センセーショナルな事件などを頻繁に目にしています。それがバイアスを強め、結果としてヒューリスティックとして吸収されていきます。

問題なのは、それらの多くが間違ったヒューリスティックということです。

間違ったヒューリスティックは間違った結果に結びつきます。だからこそ、バイアスには対策が必要なのです。

 

自分にバイアスがかかっていることを知る

利用可能性ヒューリスティックは、人間の脳に備わった性質なので排除することはできません。

ですが、自分の判断や認識にバイアスがかかっていると知れば、ヒューリスティックに振り回されることも減るでしょう。

バイアスとヒューリスティックはどちらも人間の脳の欠陥であり、どんなに賢い人でも騙されてしまいます。

大事なのは、どういった場面でバイアスがかかりやすいか、どういったときにヒューリスティックに頼ってしまうかを知ることです。

利用可能性ヒューリスティックは、人間に備わるヒューリスティックの中でも特に強く表れるもの。

直観的に判断を下したり、感情に任せた判断のほとんどは利用可能性ヒューリスティックに犯されていると考えても間違いではないでしょう。

そうした中で賢く意思決定するためには、感情に流されず、目立つものに捉われないようにしなければなりません。

放っておけば自分の都合のいいように、頭の中にある情報を利用してしまいます。たとえそれが間違っていてもです。

東京を観光するのに大阪の地図を使っても意味はありません。同じく、頭に思い浮かびやすい、利用しやすいという理由だけでヒューリスティックを利用しても意味はありません。

大切なのは状況に合った適切なヒューリスティックという地図を使うことです。

利用可能性ヒューリスティックは、人がどれだけ安易に意思決定してしまうのかを教えてくれます。

人生での大事な場面での決断のときには一度立ち止まり、自分がバイアスやヒューリスティックに振り回されていないかを考えてみましょう。

 

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まとめ:重要な決断はヒューリスティックに頼らない

今回の記事では、利用可能性ヒューリスティックの例、後半では利用可能性ヒューリスティックの対策を紹介してきました。

まとめは以下のとおり。

今回の記事のまとめ
  • 利用可能性ヒューリスティックとは、頭の中にある利用しやすい情報を優先的に利用する性質のこと。
  • ヒューリスティックとは、意思決定をおこなう場面において、これまでの経験や先入観によって直感的に判断すること。
  • 人は記憶に強く残っていることを利用する。
  • ピークエンドの法則と利用可能性ヒューリスティックは双子。
  • 確証バイアスが利用可能性ヒューリスティックを強める。
  • 感情の意思決定を避け、目立つものを避け、バイアスを知れば対策ができる。

利用可能性ヒューリスティックは、人が意思決定するときに、頭の中にある利用しやすい情報を利用して決断するバイアスのことです。

頭にすぐ浮かぶ記憶として強く焼き付いているものを意思決定の場面で利用し、そうすることで脳の負担を減らすことができます。

ですが、そうした経験則に頼ったヒューリスティックは、便利である反面、間違った決断を下すことも多いです。

利用可能性ヒューリスティックは意思決定の負担を減らしますが、重大な場面での決断では、頭の中ですぐ浮かぶものを利用するのは危険です。

ヒューリスティックが役立つときもありますが、自分の中で重要な決断を下すときは、自分が利用可能性ヒューリスティックに陥っていないか立ち止まって考えてみましょう。

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